署名文書披露式典で企業、団体との記念写真に納まる石破首相、アンゴラのロウレンソ大統領(左隣)ら各国首脳(21日午前、横浜市西区)=代表撮影

石破茂首相は21日、横浜市で開催中の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)でアフリカとの経済連携強化に関する検討委員会を立ち上げると表明した。域内諸国との自由貿易協定(FTA)の締結が念頭にある。日本企業のアフリカ進出を見据え、ビジネス環境の整備を進める。

日本とアフリカの政府と企業の関係者が意見交換する「官民ビジネス対話」で発言した。アフリカ連合(AU)が域内の自由貿易圏の整備を推進していると評価した。「日本はアフリカとアフリカ域外をつなぐ強固な架け橋となりたい」と強調した。

人工知能(AI)を含むデジタル産業やスタートアップの育成が成長を加速する土台になると訴えた。「国全体が豊かになるためには製造業で雇用を増やすことが重要だ」と語った。

経済連携の検討委は政府が民間企業や有識者らを招いて構成する見通しだ。経済連携の効果や課題を2年程度かけて検証する。

日本はアフリカのいずれの国ともFTAや経済連携協定(EPA)を結んでいない。ケニアやナイジェリアなど主要国からはじめ、最終的にアフリカ全体とFTAを結ぶことを目指す。

日本のアフリカ地域への輸出総額は1〜6月に6986億円で前年同期比13%増えた。自動車や船舶の輸出が多く、国別では南アフリカやリベリア、ケニアなどが主要な貿易相手になっている。

アフリカは当面の人口増や経済成長が見込まれ、中間層の拡大から自動車や生活用品、医薬品など幅広い商材の需要が膨らむとみられる。日本政府は関税などビジネスの障壁を取り払い、企業進出を後押しする。

首相はインドや中東諸国との物流網をつくる「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」にも言及した。東アフリカの港湾や道路、発電インフラなどを整備し、インド洋を通ってインドから中東、アフリカに連なる経済圏の統合をめざす。

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