演説するディック・チェイニー元米副大統領(2008年、米ワシントン)=ロイター

米主要メディアは4日、ブッシュ米大統領(第43代)のもとで副大統領を務めたディック・チェイニー氏が死去したと報じた。84歳だった。外交・安保チームの強硬派とされた新保守主義派(ネオコン)の筆頭格で、イラク戦争を主導するなど「影の大統領」とも呼ばれた。

1941年1月30日、中西部ネブラスカ州生まれ。フォード政権で30歳代前半の若さで米ホワイトハウスの大統領首席補佐官を務めた。1991年に始まった湾岸戦争時は国防長官として指揮した。連邦議会下院議員や石油会社の最高経営責任者(CEO)なども歴任した。

2001年9月の米同時テロ後、ラムズフェルド国防長官らとともにブッシュ政権の対テロ政策を主導した。アフガニスタンやイラクへの軍事作戦の中心的な存在で、「ならず者国家」やテロリストには先制攻撃も辞さない「ブッシュ・ドクトリン」を策定した。国際協調派と呼ばれたパウエル国務長官らと対立した。

長女リズ氏㊧と並ぶディック・チェイニー氏(2022年6月、AP)

03年に始めたイラク戦争を巡っては同国のフセイン政権が大量破壊兵器を保有しているとの情報を大義名分に、同盟関係にあるフランスやドイツの反対にもかかわらず開戦に踏み切った。その後、大量破壊兵器は発見されなかった。

ブッシュ政権が2期目に入り、国防総省や国務省などのネオコン派は次々と政権を去った。長く仕えてきたラムズフェルド氏も国防長官を更迭されたものの、チェイニー氏は最後まで副大統領職にとどまった。

30代の頃から心臓に持病があり、バイパス手術や治療を受けてきた。トランプ大統領と反目し、22年米中間選挙の共和党予備選で敗れたリズ・チェイニー氏は長女にあたる。

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