
【ニューヨーク=秋田咲】4日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は前日比0.5%安と続落したほか、ナスダック総合株価指数も2%安と大きく下がった。ウォール街の著名な経営者と投資家が相次ぎ足元の人工知能(AI)投資に警戒感を示したことで、高いバリュエーションのテック株中心に売りが広がった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、AI銘柄であるデータ分析プラットフォームのパランティア・テクノロジーズが前日比8%安と売られた。3日に発表した25年7〜9月期決算で1株あたり利益(EPS)が市場予想を上回るなど好調な内容だったが、一方的な売りが目立った。
エヌビディアは前日比4%安、マイクロソフトは5日続落しメタも4日続落した。AI関連のオラクル(4%安)やブロードコム(3%安)も下げた。
この日のマーケットを動かしたのはウォール街の大物らの警告だ。米ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は同日、香港で講演し「テック株のバリュエーションが高すぎる。今後12〜24か月の間に株式市場は10〜20%下落する可能性が高い」と話した。米モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOも相場下落の可能性を認めた。
追い打ちをかけたのが著名投資家マイケル・バーリ氏だ。25年7〜9月期にエヌビディアとパランティアのプット(売る権利)オプションを新規取得していたことが米証券取引委員会(SEC)に3日提出した報告書で判明した。バーリ氏は2008年の金融危機を予測し、逆張りの投資で成功した投資家だ。
S&P500種株価指数の終値は1%安の6771.55だった。業種別でみてもITセクターが2%安と11業種で最も売られた。
ゴールドマンは4日の顧客向けメモで「(パランティアの決算後の)株価反応が鈍い背景には収益に対する市場の高い期待値とこれまでの大幅なアウトパフォームがある」と指摘した。
投資家がハイテク株への警戒を強めるなかでもAI相場の持続性に自信をもつ投資家もいる。米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者は「パランティアやエヌビディアの下落は絶好の買い場とみなすべきだ。AIとデータセンターが爆発的なGDP(国内総生産)成長をけん引している事実は変わらない」との見方を示した。
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