【NQNニューヨーク=川上純平】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比152ドル81セント(0.34%)安の4万4785ドル50セントで終えた。四半期決算を発表したウォルマートが大幅に下落した。ほかの消費関連株も連れ安して相場の重荷となった。半面、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演を控えて様子見の投資家も多く、下値は限られた。

ウォルマートは4.4%安で終えた。21日発表の2025年5〜7月期決算で1株利益が市場予想を下回った。トランプ米政権による関税引き上げを背景に輸入品の値上げ圧力が強まるなか、低価格を維持するために一部を自社で吸収した。貿易政策が利益を圧迫しているとの見方が広がり、嫌気された。

一方、ウォルマートの売上高は前年同期に比べて増加した。市場では「中所得者層が(低価格戦略を掲げる)ウォルマートに流れている可能性があり、消費の弱含みを示唆している」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との見方があった。ホーム・デポやウォルト・ディズニーなど消費関連株が下げ、ダウ平均を下押しした。

もっとも、米株相場の下値は堅かった。FRBのパウエル議長は22日に米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演する。労働市場が軟化する一方でインフレ圧力は根強い。今後の利下げ方針についてどう言及するか不透明なことから積極的な売買が手控えられた。

ダウ平均の構成銘柄では他にIBMやシャーウィン・ウィリアムズ、アマゾン・ドット・コム、キャタピラーが下げた。半面、メルクやシェブロン、ユナイテッドヘルス・グループは上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比72.545ポイント(0.34%)安の2万1100.312(速報値)で終えた。メタプラットフォームズやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が下げた。FRBの金融政策が不透明ななか、相対的に割高感のあるハイテク株が売られやすかった。

多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は5日続落し、前日比25.61ポイント(0.40%)安の6370.17で終えた。5日続落は24年12月〜25年1月以来、約8カ月ぶりとなる。

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