オレンジ色のけさを身にまとい、祝福の祈りを唱える多くの僧侶。

手にしているのは、ほほ笑みを浮かべるアメリカ・トランプ大統領の写真です。

8月10日、カンボジアの首都プノンペンで行われた2500人を超える僧侶による大規模な行進。

その中で、トランプ氏のノーベル平和賞のノミネートを後押ししたのです。

そこにどのような背景があるのでしょうか。

長年にわたり、国境を巡る対立が続いているタイとカンボジア。

7月24日、本格的な軍事衝突が発生しました。

双方の死者が合わせて30人を超え、約27万人が避難生活を余儀なくされるなど民間人にも被害が及びました。

こうした中、トランプ氏は26日、SNSでタイとカンボジアの首脳それぞれと電話で会談し、停戦に向けた協議開始で合意したと明らかに。

そして28日、タイとカンボジアの首脳が無条件の即時停戦に合意しました。

トランプ氏は、自身の関与によって停戦が実現したとSNSでアピール。

「平和の大統領であることを誇りに思う」と主張しました。

その後、カンボジアのフン・マネット首相は、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦しました。

こうした中、8月10日、カンボジアの首都プノンペンで行われたのが、2500人を超える僧侶による平和の行進です。

停戦の順守やタイに拘束されたカンボジア兵18人の解放などを訴えました。

さらに行進はアメリカ大使館の前で、一時停止。

「トランプ大統領ありがとう」と記されたプラカードや写真を掲げ、ノーベル平和賞への推薦を支持する声明を読み上げたのです。

ノーベル平和賞を巡っては、これまでにカンボジアだけではなく、イスラエルやパキスタンからもトランプ氏を推薦する意向が示されています。

トランプ氏はノーベル平和賞の受賞に強い意欲を示していて、7月、ノルウェーの財務相に自ら電話をかけ、「世界平和に尽力してきた自分こそノーベル平和賞にふさわしい」と伝えたと報じられています。

カンボジアの僧侶らは、なぜ大規模な行進をしてまでトランプ氏のノーベル平和賞への推薦を後押しするのでしょうか。

カンボジアとタイは、停戦合意後も互いに違反を訴えるなど非難の応酬を続けています。

こうした中で、カンボジア側がタイよりも和平に前向きな姿勢を示すことで、国際社会にアピールする狙いもあるとみられています。

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