ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月12日の動き)
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米ロ首脳会談前に 欧米 ウクライナ首脳などで会合

アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は今月15日、アラスカ州で首脳会談を行う予定で、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナ情勢をめぐって協議する見通しです。
これを前に、日本時間の13日夜ドイツのメルツ首相の呼びかけで、イギリスやフランスなどヨーロッパの6か国の首脳とウクライナのゼレンスキー大統領、アメリカのトランプ大統領などが参加するオンラインの会合が開かれます。
ドイツ政府によりますと、ゼレンスキー大統領は13日、首都ベルリンを訪問し、現地から参加するということです。
会合では、
▽ロシアへの圧力強化に向けた取り組みや、
▽ウクライナをめぐる和平交渉、領土や安全保障について意見が交わされるとしています。
領土をめぐっては、プーチン大統領がウクライナ東部ドネツク州とルハンシク州、それに一方的に併合した南部クリミアの割譲を求めていると伝えられるなか、ゼレンスキー大統領は12日記者団に対し、ドネツク州などからのウクライナ軍の撤退を拒否すると強調しました。
ヨーロッパとウクライナ側は今回の会合でトランプ大統領に対し、米ロ首脳会談の場でウクライナの利益を尊重するよう求めるものとみられます。
米ロ首脳会談 “ゼレンスキー大統領は参加しない” 米報道官

アメリカ・ホワイトハウスの報道官は、15日に予定されているトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談に、ウクライナのゼレンスキー大統領は参加しないと明らかにする一方、戦争終結にはロシアとウクライナ両者の合意が必要だという認識を示しました。
アメリカ・ホワイトハウスのレビット報道官は12日、記者会見し、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談について15日、アラスカ州の最大都市、アンカレジで行われ、ウクライナのゼレンスキー大統領は参加しないと明らかにしました。
一方、「今回は、ロシアとウクライナによる戦争の一方の当事者との会談だ。合意には両者が必要だ」と述べ、戦争終結にはロシアとウクライナ両者の合意が必要だという認識を示しました。
そして、会談の目的について「トランプ大統領にとってどうすれば戦争を終結できるかについて、理解を深めることにある。いわば『聞き取り』だ」と述べました。
また、国務省のブルース報道官は記者会見で、ルビオ国務長官とロシアのラブロフ外相が電話で会談し、首脳会談の成功に向けてともに尽力していくことで一致したと明らかにしました。
ゼレンスキー大統領 “ロシアが新たな作戦の準備”と非難

ウクライナ情勢をめぐってアメリカとロシアの首脳会談が今月15日に予定される中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが新たな作戦の準備を進めているなどと非難し、ロシアに対するさらなる圧力が必要だと改めて訴えました。

ウクライナ情勢をめぐって、アメリカとロシアの首脳会談が今月15日に予定される中、ハンガリーを除くEU=ヨーロッパ連合の26の加盟国の首脳は12日、共同声明を発表し、ウクライナへの政治的、財政的な支援を続けることなどを改めて表明しました。
ゼレンスキー大統領は12日、SNSで謝意を示す一方、「ロシア軍は戦争を終える準備をしていない。それどころか新たな作戦の準備だと示す動きを見せている」と非難し、ロシアに対するさらなる圧力が必要だと改めて訴えました。

また、ウクライナのシビハ外相は12日の記者会見で、「侵略者へのあらゆる譲歩はさらなる侵略を招く」と述べた上で、「今、必要なのは停戦だ。これが、さらなる交渉への扉を開く根本的な一歩となる」として、まずは停戦の実現が必要だと強調しました。
ヨーロッパ各国やEUなどは米ロの首脳会談を前に13日、ゼレンスキー大統領やトランプ大統領などを招いたオンラインの会合を開く予定で、ウクライナやヨーロッパ側の主張を改めてアメリカ側に伝え、理解を求めるものとみられます。
プーチン大統領とキム総書記が電話会談 異例の公表

ロシアのプーチン大統領は北朝鮮のキム・ジョンウン総書記と電話で会談し、ウクライナ情勢をめぐり今月15日に予定されている、アメリカのトランプ大統領との首脳会談について情報を共有しました。
両首脳の電話会談が発表されるのは異例のことで、ロシアに兵士を派遣する北朝鮮との協力関係を強調するねらいがあるものとみられます。
ロシア大統領府は12日、プーチン大統領が北朝鮮のキム・ジョンウン総書記と電話で会談したと発表しました。
この中でプーチン大統領は、ウクライナ情勢をめぐり今月15日に行われる予定のアメリカのトランプ大統領との会談について、キム総書記と情報を共有したということです。
また、北朝鮮の国営メディアも13日、電話会談について伝え、アメリカとロシアによる首脳会談には言及しなかったものの、キム総書記が「今後もロシア指導部がとるすべての措置について、全面的に支持する」と述べたとしています。
韓国の通信社、連合ニュースによりますと、北朝鮮が最高指導者と外国の首脳との電話会談について公表するのは、これが初めてだということです。
両国としては、電話会談について発表することで、ロシアとロシアに兵士を派遣する北朝鮮の協力関係を強調するねらいがあるものとみられます。
プーチン大統領はトランプ大統領との首脳会談を前に、中国やインドのほか、旧ソビエト諸国などの首脳と相次いで電話会談を行っていて、ロシアと関係の深い国々との結束を確認しています。
ウクライナ デジタル転換相 “迎撃用無人機 生産拡大進める”

ウクライナ政府で軍のIT化などを主導するフェドロフ第1副首相兼デジタル転換相が、NHKのインタビューに応じ、ロシア軍が無人機による攻撃を続ける中、「迎撃用の無人機の生産拡大を積極的に進めている」と述べ、防空態勢の強化を急いでいると強調しました。
ウクライナのフェドロフ第1副首相兼デジタル転換相は、ロシアによる軍事侵攻が続く中、無人機の開発や軍のIT化などを主導するゼレンスキー政権の主要閣僚の1人です。
ウクライナ情勢をめぐってロシアのプーチン大統領は、今月15日、アメリカのトランプ大統領と首脳会談を行う予定ですが、こうした中にあってもロシア軍は、大量の無人機を使ってウクライナへの攻撃を続けています。
フェドロフ氏は今月初旬、NHKのインタビューに応じ「われわれは、迎撃用の無人機の調達、生産拡大を積極的に進めている」と述べ、無人機による防空態勢の強化を急いでいると強調しました。
首都近郊のキーウ州では、無人機を無人機で迎撃する専門の部隊も配置され、こうした部隊の運用も含む防空任務についてフェドロフ氏は、アプリによる配車・配達サービスになぞらえて「『ウーバー防空』の原理で攻撃の方向に合わせて配置を変えている。安価な無人機が防空兵器となった以上、機動性が重要だ」と指摘しました。
そして「この戦争に勝ち、人の命を守るためにはテクノロジーが不可欠だ」とした上で「日本とウクライナのハイテク産業の間でウィン・ウィンの関係を築きたい」と述べ、日本からは投資や技術面での支援を受け、ウクライナからは実戦での経験をフィードバックする形で協力関係を築きたいと訴えました。
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