最高裁前で同性婚の合法化を祝う人々(2015年6月)=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は10日、同性婚を全米で認めた2015年の判断について、覆すべきかどうかを審理するよう求めた元郡職員の申し立てを却下した。保守派が多数派を占める最高裁が審理を決めれば同性婚が制限される可能性があるとして、同性愛者らの間に不安が広がっていた。

最高裁は却下の理由は示さなかった。最高裁が訴訟の審理を決めるには、判事9人のうち4人の賛成が必要になる。

申し立ては、同性婚の合法化後の15年に信仰上の理由から同性カップルへの結婚許可証発行を拒否し、罰金を科された南部ケンタッキー州の元郡職員が起こしていた。

最高裁は15年に同性婚を合衆国憲法の下の権利とし、州は同性婚を認めなくてはならないとの判断を下した。当時の中道派判事が判決支持に回り、賛成5、反対4だった。現在の最高裁は保守派6人、リベラル派3人と保守に大きく傾斜している。

保守派判事のうちトーマス氏が同性婚を認めた判断の見直しを公に主張している。

米ギャラップ社の世論調査によると、25年5月時点で米国の成人の68%が同性婚を支持している。ただ、共和党支持者の支持は22年の55%をピークに低下しており、25年は41%となっている。

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