その大学への進学のため、佐賀県では年間約3000人が県外に流出しています。そんな中、県内でも4年制大学の人気が高まり、閉校する短期大学もあります。県内の大学情勢をまとめました。
【武雄アジア大学学長予定者 小長谷有紀さん】
「武雄という地域社会のことを考える、アジアっていうことを見すえる、その両方を、地域理解と国際理解をどちらも学ぶということがこの大学の基本方針」
今年8月、国から設置を認可され、来年4月の開学が決定した武雄アジア大学。
「東アジア地域共創学部」の1学部が設置され、観光資源の開発やそのマネジメントなどを学べます。初年度は140人の入学が見込まれ、その半数を県内の高校などからの推薦枠としています。
【武雄アジア大学学長予定者 小長谷有紀さん】
「日本を背負ってくださいとまでは大きく頼まないで、自然にそれを担っていただけるような方を育てたい。大人の方でそういうのに興味ある方にはぜひ大人のコースを作りたいと思っています」
武雄アジア大学を始め、県内の大学情勢は今、大きな変革期を迎えています。
県によりますと、昨年度の県内の大学等進学率は全国の61.9%と比べ、10%以上の開きがあるものの、48.4%と右肩上がりで増えています。
一方、県内の学生数を見てみると、4年制大学の学生数は5年前と比べ1.5%と微かに減少しているのに対し、短期大学の学生数は8%減少。
この4年制大学志向の高まりの影響を受けたのが、鳥栖市にある九州龍谷短期大学です。
【九州龍谷短期大学 後藤明信学長】
「短期大学の置かれている状況というのは厳しいものがあって、4年制大学志向、それから専門学校。苦渋の決断ですけど、最終的には決断せざるを得なかった」
九州龍谷短期大学は、18歳人口の減少や4年制大学志向などの影響で志願者が激減し、定員割れが常態化するなど厳しい経営状況が続き、新規の学生募集を停止。再来年3月の卒業生を最後に閉校することが決まっています。
【九州龍谷短期大学 後藤明信学長】
「学生は皆頑張って皆明るく生き生きとやってくれていますので、教員・職員が就職活動をサポートしながら早く就職が決まるように支援をしているところですね」
今、学生が大学に何を求めているのか。
【佐賀大学生】
「経済の学科選んだ理由は単純に日本の仕組みとかお金はちょっと興味があって」
「経済学部経済法学科があって、経済も法律もどちらも学べるという点が魅力に感じたので」
「一番は就職に有利なところ支援とかあれば。」
「様々な教員免許がとれるので、佐賀大学教育学部に来ようと思いました」
学びたい学問や将来就きたい仕事に必要な資格取得への支援を求める声に、就職への不安の声も…。
この状況に対応するため、新たな取り組みを行うのが、県内唯一の国立大学、佐賀大学です。
【佐賀大学 野出孝一学長】
「ニーズとされているものは時代によって変わっていくわけです。特に独自性のある教育や研究をしていくことが必要になります。だからできれば他の所でもやっていない、今までもやっていなかった学問であったり、教育であったりというものを進んでしていくことが必要なんじゃないかなと」
佐賀大学は来年度から、化粧品の開発や製造などに携わる人材育成を目的として、コスメティックサイエンス学環を国立大学で初めて設置します。
30人の定員を設置し、化粧化学のみならず、マーケティングといった経済学や皮膚科学といった医学の分野も包括した研究が行えるとしています。
【佐賀大学 野出孝一学長】
「狭い領域ではなくて、文系・理系も含んだ経済学とか理工学とか農学・医学を包括したような研究をしたいとそういう風な学生に来ていただきたい。」
また、県は4年後の4月に新たに県立大学を開学予定。
データサイエンスや経営などを学べる理文融合型の大学を目指します。
年間3000人が進学のために県外に出ていくとされる佐賀県。
多様なニーズに対応した大学教育が、今後どう広まっていくのか、注目されます。
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