
【ニューヨーク=竹内弘文】ベッセント米財務長官は12日、ニューヨークで講演し、米国債の増発について「市場の混乱を避けるため発行量を段階的に調整する」と語った。あらゆる金融取引のベースとなる国債利回りは、国民生活の「手ごろさ」を映す指標であると述べ、政権として米国債市場の安定確保を重視する姿勢を強調した。
ニューヨーク連銀が主催する米国債カンファレンスに登壇した。ベッセント氏は「米国債は世界金融システムの基盤であると同時に、アメリカンドリームそのもの」と説明。住宅・自動車のローンにかかる費用や、新興企業の資金調達といった事例を挙げ、金利は「生活の質に直結する」と述べた。
予見可能性の高い国債発行は、国債安定消化の要だ。ベッセント氏は利付国債の発行は「少なくとも今後数四半期にわたって入札規模を変更する必要はない」と表明。そのうえで「追加発行が財政管理上の目標にかなう条件や時期について検討を続ける。必要な時期が来れば、準備を整えて市場参加者に計画を共有する」と説明した。
米財務省は5日に発表した2025年11月〜26年1月の国債発行計画の声明文で「将来的な入札規模の拡大について予備的な検討を開始した」と記載していた。
カンファレンスの冒頭ではニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が基調講演した。
国債市場や短期金融市場が混乱した過去の事象を振り返り、ニューヨーク連銀がつかさどる米連邦準備理事会(FRB)の金融調節や政策ツールが進化してきた様子を説明。「過去10年我々は多くを学び、現状の金融政策の枠組みは幅広い状況で十分な流動性供給を支えるように設計されている」と語った。
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