
【北京=共同】北京市の高級人民法院(高裁)は13日、日本人外交官に情報を提供したなどとしてスパイ罪に問われた中国共産党系主要紙の元幹部、董郁玉氏の上訴を棄却し、懲役7年の一審判決を支持した。
中国は二審制のため判決が確定する。関係者が明らかにした。
董氏は無罪を訴え、金杉憲治駐中国大使が「日本大使館はスパイ組織ではない」とした書簡を提出したが、高裁は証拠として認めなかった。
董氏は光明日報の元論説部副主任を務め、日本を含め各国の外交官やメディア関係者と交流を持つなど著名な改革派知識人として知られる。
昨年11月の一審判決は董氏と親交のあった日本人外交官らの名前の一部を列挙し「スパイ組織の代理人」と認定。在中国日本大使館を「スパイ組織」とみなした。
董氏の親族は取材に「受け入れられない判決だ。憤りを禁じ得ない」と判決に失望を表明し、引き続き無罪を訴えていくと強調した。高裁周辺には13日、多くの公安当局者や警察車両が配備された。報道関係者の動きを警戒したとみられる。
今年3月、金杉氏は「日本大使館および総領事館はスパイ組織ではない。正当な業務を行っている」とした自身の署名入りの書簡を董氏の親族に送付した。
関係者によると、董氏側は同月に開かれた高裁の初公判で改めて無罪を主張し、金杉氏の書簡を証拠採用するよう求めていた。
中国外務省の林剣副報道局長は13日の記者会見で、董氏の判決を巡り「中国の司法機関は厳格に事件を処理しており、違法な犯罪者は必ず追及される」と主張した。
董氏は2022年2月に北京市内で日本大使館員と会った直後に拘束され、23年3月にスパイ罪で起訴された。
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