米ハーバード大学=ロイター

【ニューヨーク=谷本克之】全米大学・雇用者協会(NACE)が発表した2026年の米大卒就活市場の見通しは2020〜21年以来の低水準となった。就職市場の見通しを「良い」と回答した雇用主の割合は前年比10ポイント減の37%、「悪い」と回答した割合は3ポイント増の6%だった。人工知能(AI)導入で業務の代替が進むことが背景にあるとみられる。

NACEが8月7日〜9月23日に183の雇用主に対して実施した調査によると、26年の大卒の就職市場の見通しについて「良い(Good)」と回答した割合は37%と減少し、「とても良い(Very Good)」(12%)の割合は横ばいで推移した。

一方で、前期比3ポイント増の6%の雇用主が「悪い」との見通しを示し、「普通」が45%に上った。大卒就職市場の見通しで「悪い」と「普通」と答えた割合が合計で5割を超えるのは新型コロナウイルス禍の経済低迷で新卒採用が落ち込んだ20〜21年以来となる。

米国の大学の卒業シーズンは5~6月に集中する。在学中に2~3カ月間の長期インターンを経て大学4年生の秋ごろに採用が本格化する。調査は企業などへの聞き取りを通じて就職市場の見通しを示す一定の民間指標となる。

調査結果の悪化の背景には大手企業の相次ぐ人員削減がある。10月には米アマゾン・ドット・コムが世界の管理部門を中心に1万4000人の従業員を削減すると発表した。物流大手のUPSも、米国で4万8000人の人員を削減した明らかにした。

米調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米企業・組織の人員削減は1〜9月に94万6426人と前年同期比で55%増えた。

トランプ米政権が課した関税や持続的なインフレで経済の不確実性が増しており、NACEの担当者は「多くの企業は採用に慎重になっている」と指摘する。

AIの台頭も追い打ちをかける。特に若手がこなす業務についてはAIでの代替が進んでおり、各企業は経験者の採用にシフトする。ニューヨーク連邦準備銀行の分析によると、6月の大学卒業生の失業率は4.8%で、同月の失業率全体を上回った。再就職先を探す人材との枠の奪い合いも生まれる。

NACEによると26年の採用計画数は前年比1.6%増と伸び率は鈍化したものの数自体は微増する見込みだ。ただ例年、春の調査では前年秋の調査時の採用計画を下回っており、26年の就職市場の動向も見通せない。

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