エプスタイン氏(中央、2008年7月)=AP

【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領は14日、SNSへの投稿で、少女買春などの罪で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏と、クリントン元大統領ら民主党関係者とのつながりを捜査するよう司法省に求めた。トランプ氏とエプスタイン氏の関係を追究する民主に対抗する意図がある。

トランプ氏は、民主が連邦政府閉鎖などを巡る失策から関心をそらすために「エプスタインのでっち上げ」を利用していると非難した。クリントン氏やクリントン政権で財務長官を務めたラリー・サマーズ氏、民主の大口献金者として知られる米リンクトイン共同創業者のリード・ホフマン氏を名指し、ボンディ司法長官と米連邦捜査局(FBI)にエプスタイン氏との関係の捜査を求めると述べた。

クリントン氏らはエプスタイン氏と交友関係があったことが知られている。

トランプ氏は米銀最大手のJPモルガン・チェースの調査も要求した。JPモルガンは大口顧客だったエプスタイン氏に金融サービスの提供を続け、被害の拡大を招いたと批判を浴びた。2023年に集団訴訟を起こした被害女性らに和解金を支払うことで合意している。

ボンディ氏はトランプ氏の投稿を受け、X(旧ツイッター)で、ニューヨーク州の連邦検事に捜査の指揮を執るよう指示したと明らかにした。

下院の民主議員らが12日、エプスタイン氏がトランプ氏に言及した女性や知人との電子メールのやり取りを公開した。下院は来週、司法省にエプスタイン氏に関する資料や記録の公開を義務付ける法案を採決する見通しだ。米メディアは、民主議員に加え数十人以上の共和議員も賛成する可能性があると報じている。

トランプ氏はいら立ちを強めている。SNSで「一部の弱い共和党議員が民主党の餌食になっている」「エプスタインは民主党員で、共和党ではなく民主党の問題だ」と主張した。

政財界の有力者と広い交友があったエプスタイン氏は「口封じのために殺害された」との陰謀論が根強い。トランプ氏の支持者にも陰謀論の信奉者がいる。

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