高市総理大臣の台湾有事をめぐる発言に中国が反発していることを受け、18日、北京で日中の協議が行われましたが、溝は埋まりませんでした。
18日、外務省の金井正彰アジア大洋州局長と、中国外務省の劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長は協議の後、険しい表情で記者団の前に姿を見せました。
外務省の発表によると、金井局長は劉局長に対し、中国の薛剣(せつ・けん)駐大阪総領事がSNSに「汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿した問題で改めて抗議し、早急に適切な対応を取るよう強く求めました。
中国では、金井氏が劉氏に頭を下げているように見える場面が切り取られ、SNSで拡散されています。
現地メディアはどのように報じているのか、FNN上海支局の工藤雄矢特派員が現地の状況をレポートしました。
■現地メディアはどのように報じているのか
現地のメディアは、どのように報じているのでしょうか。
【上海支局 工藤雄矢特派員】「中国共産党系の新聞『環球時報』では、『中国が日本側に明確な説明を求める。日本は誤った発言を直ちに撤回し、深く反省し、政策方針を改めるべきだ』といった見出しで取り上げています。
また、中国と琉球(沖縄県)が深い関係を持ってきた中で、日本が武力で沖縄県を併合したとも書かれています。
中国国内では沖縄の試験問題や歴史問題を見直すべきだという声が高まっているというふうにも書かれています。このような記事は尖閣諸島の国有化の際にも共産党系のメディアで見られ、これは中国側の一種の揺さぶりと考えられます」
■中国国内ではSNSの動画が拡散
また、中国国内ではSNSの動画が拡散されています。
【上海支局 工藤雄矢特派員】「協議後にポケットに手を突っ込んだ中国の劉(りゅう)アジア局長と外務省の金井アジア大洋州局長が耳を傾ける姿のSNSの動画です。
中国国営テレビは、SNSなどでこの映像を速報で公開しました。金井氏が劉氏に頭を下げているように見える場面が切り取られて拡散されています。
昨日の協議は非公開で行われましたが、中国では普段こうした取材では規制が厳しいのですが、今回、中国側は協議を終えた後、建物の中で日本メディアの撮影を黙認しました。中国が優位にあることを国内外にアピールする思惑があると感じました」
■日本映画の公開延期について「見たい思いはある。ただ仕方ないことだ」との政府の方針に従う声
【青木源太キャスター】「今、上海にいて、中国国民の方と触れ合っていて、感じる雰囲気の変化とかありますか?」
【上海支局 工藤雄矢特派員】「今のところ中国の国民が過剰に反応しているといったことは、あまり感じません。ただ、今回の映画公開延期についても、日本であれば悲しむ声や、『残念』という声が聞こえると思いますが、中国でインタビューすると、『見たい思いはある。ただ仕方ないことだ』という、政府の方針に従うという感じで、冷静に受けとめていることが日本とは違っていて印象的でした」
■観光やエンタメ界で中止や延期などの影響
観光やエンタメ界で、中止や延期などの影響が出ています。
・北京の旅行会社:日本への旅行の新規ツアー受付停止
・「クレヨンしんちゃん」シリーズなどの日本映画化公開延期に
・吉本新喜劇:上海で20日から公演予定が中止に
・「JO1」広州で今月28日に予定していたイベントが中止に
■中国側の対応「よくやる」手段と“ヒゲの隊長“こと佐藤正久・前参議院議員
元陸上自衛官で“ヒゲの隊長“こと佐藤正久前参議院議員は、「よくやる」手段だと指摘しました。
【佐藤正久前参議院議員】「これよくやるんですよ。韓国にアメリカが対空ミサイルを置いたときに、中国は韓国からの訪客に制限かけたり、エンタメを止めたり、韓国に行く旅行客は止めたいと」
「(中国は)相当悪さしたけど今、(韓国と中国の交流は)戻っていますから」と一時的に制限をかけても、その後、元に戻ると、冷静な判断を呼びかけました。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年11月19日放送)
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