トランプ大統領（資料写真）
2021年に延長された条約は米ロが配備する戦略核の弾頭数をそれぞれ1550に制限。弾道ミサイルなど核運搬手段も削減することを決め、相互査察により一定の成果を上げてきた。 核兵器使用も否定しないプーチン氏は10月下旬、原子力推進式巡航ミサイル「ブレベスニク」の配備を示唆し、新型原子力魚雷「ポセイドン」の実験成功を表明するなど核戦力を誇示していた。 トランプ氏は核実験指示を中国の習近平（しゅうきんぺい）国家主席との首脳会談直前に公表し、ロシアに加えて中国にも対抗する意図が見える。 ストックホルム国際平和研究所によると、中国が今年1月時点で保有する核弾頭数は昨年同月比で100発増え、推計600発に上るという。トランプ氏は中国が米ロに「5年以内に追いつく」と警戒感を強めている。 ただ米エネルギー長官はトランプ氏の「核実験」を軌道修正し、核兵器の性能を確認する「臨界前核実験」と説明した。核爆発を伴う実験の可能性は低いとみられるが、核大国間の駆け引きは大きな危険性を伴うと自覚すべきだ。 核兵器廃絶を目指す科学者らでつくる国際会議「パグウォッシュ会議」の第63回世界大会が被爆80年となる広島で開かれた。5日に採択された「広島宣言」は「人類は将来を左右する重大な分岐点に立っている」との認識を示し、新STARTについて「米ロの新たな関与は不可欠であり、対話はすべての核保有国に拡大されねばならない」と表明した。 ウクライナ侵攻で経済制裁を受け、財政状況も厳しいロシアは9月、条約の1年間延長を米国に提案している。トランプ政権は核削減に消極的な中国も巻き込んだ核軍縮協議の必要性を訴えており、いまこそ米ロ中3カ国は核軍縮交渉のテーブルに着くべきだ。記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
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