
石破茂首相と来日中の韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は23日、首相官邸で会談した。日韓の相互利益を追求する「未来志向」の協力を確かめる見通しだ。核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対処に関し、日米韓3か国の連携強化が重要だと申し合わせる。
両首脳の会談は6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の際にカナダで開いて以来2度目となった。互いの国を首脳が訪問しあう「シャトル外交」を続ける方針を確認した。
今年は日韓が国交正常化した1965年から60周年にあたる節目の年だ。両国は経済、文化、人的交流などで関係を深める機会になるとみて、協力策を調整してきた。
両首脳は会談で、若者が働きながら相手国に長期滞在できる「ワーキングホリデー」のビザ(査証)の対象拡大で一致する。人的往来を増やすため、両国とも相手国の若者が2回までビザを取得できるようにする。
東アジアの安定維持へ協力すると首脳間で確かめる。中国の軍事力拡大や北朝鮮の核・ミサイル開発などを踏まえ、ともに米国の同盟国の日韓が足並みをそろえる。
半導体といった重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化でも協業を探る。米トランプ政権の関税措置といった課題についても話し合う。
日韓関係は元徴用工問題などで「国交正常化後で最悪」と呼ばれるまで悪化した。岸田文雄前首相と尹錫悦前大統領の間で急速に改善をはかり、2023年5月に12年ぶりにシャトル外交を再開させた。
李在明氏は過去に日本への強硬姿勢が目立った経緯があり、日本側には日韓関係の後退への懸念があった。大統領選挙がはじまると李氏は「実用主義」を掲げた。イデオロギーの対立ではなく、国益を優先する姿勢をとっている。
李氏は日本に続いて24日から米国訪問を予定する。韓国の歴代大統領は就任後に同盟国の米国を最初に訪れることが多い。先だって日本に来るのは日本との関係が国益の面から必要だとみているあらわれと言える。
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