G20サミット初日の22日、記念撮影に臨む高市首相(左から2人目)。中国の李強首相(右から2人目)との接触はなかった(南アフリカ・ヨハネスブルク)=代表撮影・共同

【ヨハネスブルク=川上進平】高市早苗首相は23日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の期間中に中国の李強(リー・チャン)首相と会話の機会がなかったと明らかにした。G20閉幕後、訪問先の南アフリカで記者団の質問に答えた。

高市首相は日中間の懸案と課題を減らし、理解と協力を促す方策が必要だと力説した。「対話にオープンだ。扉を閉ざすことはしていない」と述べた。

戦略的互恵関係の推進や建設的で安定的な関係を構築する方針は一貫していると説いた。「わが国として主張すべきことは主張することが大事だ」と強調した。

G20サミット初日の22日には記念撮影で他国の首脳ら3人を挟んで高市、李両氏が近距離になる場面はあった。このときも互いに声をかけることはしなかった。

高市首相の台湾有事を巡る国会答弁と、中国の薛剣・駐大阪総領事のSNS投稿により日中関係は冷え込んだ。

中国政府は対立を受け、自国民に渡航自粛を呼びかけた。再開に向けて動き出したばかりの日本産水産物の輸入を事実上停止した。高市首相に答弁の撤回を求め、強硬姿勢を続ける。総領事の投稿に対して擁護する姿勢をみせる。

日本政府は首相の答弁を撤回する必要がないとする立場を中国側に伝え、総領事の投稿に抗議する。日中双方の立場は平行線をたどっている。対立が長期化する可能性が出ている。

外務省幹部は中国との関係回復について「最大で4〜5年かかる可能性もある。エスカレーションはまだ頂点に達していない」との見方を示した。2010年の沖縄県・尖閣諸島での漁船衝突事件や、12年の尖閣諸島国有化の時と比べ「対立の度合いは同等かそれ以上だ」と解説した。

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