
【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領や側近らが2020年大統領選で敗北した南部ジョージア州の結果を覆そうとした罪に問われた裁判で、同州の検察が26日、起訴を全て取り下げた。同州の裁判所が取り下げを認め、裁判は終結した。
検察は取り下げの申立書で、現職の大統領に対する裁判は障害が多いことを主な理由に挙げた。
トランプ氏の弁護士はX(旧ツイッター)への投稿で「失格検事によるトランプ大統領に対する政治的迫害がやっと終わった」と述べた。
トランプ氏は23年8月、選挙結果を覆すようジョージア州の幹部に圧力をかけた罪などで起訴された。トランプ氏の顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長やメドウズ元大統領首席補佐官ら十数人も同時に起訴された。これらの起訴も全て取り下げとなった。
当初事件を担当していた検事が不正疑惑で失格となり、同州の超党派の検察官団体で事務局長を務めるピーター・スカンダラキス氏が今月14日に事件を引き継ぐと発表した。
スカンダラキス氏は起訴取り下げの申立書で、現職の大統領がジョージア州の裁判に出廷するのは現実的でないと指摘。トランプ氏の退任後まで裁判手続きを長引かせるのは、州民の利益にならないと説明した。
前任の検事による起訴内容にも疑問を呈した。「選挙結果を問題視したり、異議を唱えたりすることは違法ではない」とした。トランプ氏による圧力の根拠の一つとされた州務長官への電話についても「純粋に不正があったと信じて調査を求めていたとの解釈もできる」と記した。
トランプ氏は、連邦特別検察官にも20年大統領選を巡って連邦議会の承認手続きを妨害した罪で起訴されていたが、検察官が24年11月に取り下げた。検察官は政府の機密文書を不正に持ち出した罪についても起訴を取り下げた。
東部ニューヨーク州で不倫口止め料を不正に処理した罪に問われた事件では刑罰を科さない有罪の判決を受けた。トランプ氏は控訴している。
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