
高市早苗首相とトランプ米大統領の日本時間25日の電話協議で、台湾を巡る首相の発言について話し合っていたことがわかった。日中対立の深まりをトランプ氏が懸念し、首相と対応を擦り合わせたとみられる。
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トランプ氏は24日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議した。その後、首相に電話をかけた。
首相周辺は27日、トランプ氏とのやりとりに関し「(台湾発言を受けた中国の反発の)沈静化に向けて協力していこうということだった」と説明した。日米両政府ともこれまで、首相の台湾発言が話題になったとは公表してこなかった。
日本政府高官は電話のなかでトランプ氏が重視する中国への大豆輸出など貿易問題が話題になったと明かした。その上で「良好な米中関係が日本にも良い影響を与える」と伝えられたと語った。
一方で日本政府は、トランプ氏から首相が中国に関し「助言を受けた」という構図は否定する。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は26日、トランプ氏が首相と電話協議した際に、台湾問題で中国を刺激しないよう助言したと伝えた。首相に発言の撤回は求めなかったとも報じた。
トランプ氏は首相とのやりとりについて同紙に声明を出した。「米国と中国の関係は非常に良好で、それは我々の親密な同盟国である日本にとってもいいことだ」と強調した。
習氏が大豆などの米農産品の輸入を増やすとの見通しを説明した上で「我々は日本や中国、韓国、その他の多くの国と素晴らしい貿易協定を結び、世界は平和な状態にある」とも表明し「このままでいこう」と付け加えた。
木原稔官房長官は27日の記者会見で、同紙の報道を受け「記事の中に『トランプ氏から台湾の主権に関する問題で中国政府を挑発しないよう助言』との記述があるが、そのような事実はない点は明確にしておきたい」と発言した。

日中間で問題となっているのは首相の7日の衆院予算委員会での答弁だ。台湾周辺の海峡封鎖で米軍が来援するケースに触れ「武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と発言した。
中国は「台湾海峡への武力介入の可能性をほのめかした」などと反発する。中国国民への訪日自粛の呼びかけや日本産水産物の事実上の輸入停止といった経済的威圧行為を続けている。
首相も自身の発言で生じた混乱を収めようとしている。26日の党首討論では台湾有事の想定を問われ「政府が全ての情報を総合して判断する」と話した。
「対話を通じてより包括的な良い関係を作り、国益を最大化するのが私の責任だ」と訴え、日中関係の修復に努める考えを示した。首相が慎重な言いぶりに徹したのもトランプ氏とのやりとりを踏まえた可能性がある。
トランプ氏が首相に電話をかけたのは、米中関係の改善基調を維持するため、日中の対立緩和を望む姿勢を伝える狙いがあったとみられる。同盟国である日本と中国の間で軍事的緊張が高まれば、米軍の関与も迫られるリスクが出てくるためだ。
トランプ氏は10月末の習氏との対面会談で対立が浮き彫りになる台湾問題を議題にするのを避け、中国による米国産大豆の購入再開やレアアース(希土類)の輸出規制延期などで合意する「実利」を優先した。
2026年11月の中間選挙を前に中国との摩擦が生じれば合意履行が滞り、トランプ氏の支持基盤である農家や製造業に従事する労働者層の離反を招きかねないとの懸念がある。
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