
【カイロ=時事】イスラエル政府は3日、エジプトと境界を接するパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの検問所を近く開放すると発表した。ただ、目的は「エジプトへの住民退去」に限定するとしており、ガザへの支援物資の搬入や域外に避難した住民の帰還は認めない方針だ。
一方、エジプト当局は3日、ガザ退去のために検問所を開放することでイスラエルと調整していることを否定する声明を出した。開放の際は「住民の出入り」が許可されるとして、ガザへの帰還も認めると強調。イスラエルの主張通りに検問所が開かれるかは不透明だ。
ガザとエジプトを唯一つなぐ同検問所は、物資搬入の主要経路の一つ。10月に発効したイスラエルとイスラム組織ハマスのガザ和平計画「第1段階」合意に基づき再開することになっていた。しかし、ハマスが全ての人質の遺体を返還していないとして、イスラエルは閉鎖を続けてきた。イスラエルメディアによると、ネタニヤフ首相はトランプ米大統領と1日に電話会談した後、限定的な再開を決定した。
これに先立ち、ハマスは2日、「人質の遺体」を赤十字国際委員会(ICRC)を通じてイスラエル側に引き渡した。だが、同国首相府は3日、検視の結果、人質と「関連がない」と判明したと発表した。ハマスは、イスラエル人1人とタイ人1人の遺体を返還していない。
遺体を含む人質の奪還は、ネタニヤフ政権がハマスとの2年に及ぶ戦闘で掲げた目標の一つ。和平計画「第2段階」で行うことになっているハマスの武装解除やイスラエル軍の撤退が実現するか不確かな情勢となっている。
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