2024年の米大統領選で予測市場に注目が集まった(24年11月5日、ネバダ州ラスベガス)

【ニューヨーク=佐藤璃子】米大統領選の勝者から映画賞の受賞作品まで、様々なテーマの結果に賭ける予測市場が急拡大している。週間取引額は11月に37億ドル(約5700億円)近くと、年初比でおよそ7倍に広がった。米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社やトランプ米大統領が立ち上げたSNS企業など、大物の参入も相次ぐ。

予測市場、「はい」「いいえ」で賭け

予測市場は通常の賭博と区別され、先物市場のように結果予想を売買する。大手のポリマーケットなどでは、選挙やスポーツ、賞レースといった幅広いトピックについて「Yes」か「No」の二者択一で結果を予想し取引する。

例えば、大手サイトでは来年3月に開催予定の米映画アカデミー賞の作品賞を賭けの対象にしている。

有力候補とされる「ワン・バトル・アフター・アナザー」の受賞確率は足元で60%。この作品が勝つと考え賭ける場合、受賞確率に沿って1口当たり60セント支払う。この取引を、受賞を逃すことに賭ける利用者の40セントの取引と突き合わせる。予測が的中した方が1ドルを受け取り、外れた場合はゼロとなる。

仮想通貨調査会社デューン・アナリティクスの推計によると、予測市場全体の週間の取引額は11月上旬に約36億8000万ドルに上る。

24年、大統領選への賭け合法化で注目

予測市場は2024年11月の米大統領選で脚光を浴びた。ロイター通信によると、ポリマーケットと競合する「カルシ」は米商品先物取引委員会(CFTC)に連邦議会に関する予測取引の許可を求めていたが、CFTCは現金決算による政治イベントの取引を禁止した。これをカルシが提訴し、選挙直前に米国で取引を合法とする司法判断を得た。

選挙があった週の取引額は約20億ドルと異例の伸びを見せた。暗号資産(仮想通貨)での取引が可能なプラットフォームもあり、仮想通貨の推進姿勢を明確にするトランプ政権の発足でさらに注目が集まっている。最近ではニューヨーク市長選の結果や米政府閉鎖の期間を予測する取引などが話題となった。

予測市場の拡大を受けて足元では新規参入が相次いでいる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は11月、スポーツ関連グッズやアパレルを展開する米ファナティクスが、予測市場への参入を見据えて仮想通貨関連サービスを提供するクリプト・ドット・コムとの提携を協議していると報じた。

米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループはスポーツ賭博のファンデュエルと組み予測市場のプラットフォームを開始すると発表している。トランプ氏が立ち上げたSNSを運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)も参入を目指す。

NYSEの親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)も10月、ポリマーケットに最大20億ドルを出資し、資本提携すると発表している。

賭博との境目に曖昧さも

米ブルームバーグ通信は11月、カルシのタレク・マンスール最高経営責任者(CEO)が「市場がここまで急速に拡大するとは予想しなかった。1兆ドルの規模になりつつある」と発言し、今後数年で株式市場に並ぶ市場になるとの考えを示したと伝えた。

市場が膨らむ一方で規制面での不透明さは残る。米国では賭博か否かの境界線が曖昧であるとの声が多い。「消費者は予測市場に対し、各州で規制されているスポーツ賭博と同じ規制や消費者保護を求めている」とアメリカ・ゲーミング協会は話す。

FTの報道によると、24年の大統領選では4つの外国人と見られるアカウントからトランプ氏の当選へ計3000万ドル以上という大金が賭けられ、同氏の当選確率がつり上げられたこともあったという。選挙結果など、賭け対象のイベントの正当性にも影響を与えかねないとの懸念がある。

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