フランスのバイル首相は9月8日に内閣の信任投票を実施すると発表した(8月25日、パリ)=ロイター

【リュブリャナ=北松円香】フランスのバイル首相は25日、9月8日に内閣の信任投票を実施すると発表した。2026年度予算案審議が始まる前に議会による信任を得る狙いだ。だが野党の極右や左派は反対票を投じると表明しており、内閣総辞職となる可能性もある。

バイル氏はこの日の記者会見でフランスの政府債務の大きさを強調し、「我が国をこのようなリスクに沈んでいかせることはしない」と財政再建の覚悟を述べた。マクロン大統領も信任投票のための臨時国会召集に同意したという。

国民議会(下院)で政党として最大数の議席を持つ極右の国民連合(RN)のバルデラ党首はSNSで「RNは絶対に信任票は投じない」と述べた。急進左派の「不服従のフランス(LFI)」や中道左派の社会党など他の野党も次々に反対票を投じると表明した。

バイル氏は7月に年金支給額据え置きや祝日削減などの財政再建策を発表し、野党や有権者から強い反発を受けた。仏国内では抗議のために9月10日に大規模なストライキを実施しようとの呼びかけが広がっている。

金融市場では仏財政再建が遠のくとの懸念が強まる。仏経済紙レゼコーによると仏10年債利回りはバイル氏の発表を受け、3.51%と3月中旬以来の高水準に達した。フランスより信用格付けの低いイタリアの10年債(3.59%)との差は残りわずかだ。

マクロン氏が率いる中道の与党連合は24年の下院選で敗退し、議会の主導権を握れなくなった。バルニエ前首相も25年度予算案審議をめぐり、就任からわずか3カ月の24年12月に辞職に追い込まれた。

内閣が総辞職しても、国家元首である大統領の進退には影響しない。ただし大統領が与野党の信任を得られる新たな首相の指名に手間取れば政府や議会の運営が滞り、内政が混乱する恐れがある。

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