イスラエルのネタニヤフ首相は17日、1120億シェケル(約5兆4千億円)規模となるエジプトへのガス供給契約を承認したと発表した。イスラエル史上最大のガス取引という。パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラエルを強く非難してきたエジプトとの関係改善の一助となるかどうかが注目される。

 ネタニヤフ氏は演説で「エネルギー大国としてのイスラエルの地位を大幅に強化する」と述べ、国内需要の増加でガス不足に直面するエジプトとの関係を強化することで地域の安定化につなげる考えを示した。AP通信によると、米石油大手シェブロンが関与し、エジプトに今後15年にわたってガスを供給する。

 米メディア・アクシオスによると、米トランプ政権は経済的利益をてこに、ガザでの戦闘をめぐって孤立したイスラエルとアラブ諸国の関係改善を進めたい考え。29日に米国で予定されているトランプ大統領とネタニヤフ氏の会談にエジプトのシーシ大統領を同席させる案が浮上しているが、国内世論に配慮するエジプト側は消極的だという。

 4度の中東戦争を戦ったイスラエルとエジプトは1979年に平和条約を締結し、国交を樹立。安全保障やエネルギー面での協力を進めたが、国民間には相互不信が残り、「冷たい平和」と呼ばれる。

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