
【シドニー=時事】オーストラリアのアルバニージー首相は18日、シドニー近郊のビーチで14日に起きた銃撃テロを受け、憎悪犯罪の厳罰化や過激主義を持つ入国者のビザ取り消しなどを柱とするテロ防止強化策を発表した。早期の関連法改正を目指す。テロでユダヤ教徒が標的とされ、容疑者父子と過激派組織「イスラム国」(IS)との関係が捜査される中、豪政府は迅速に対策を進めて暴力の連鎖を断ち切りたい考えだ。
一連の対策は、関係閣僚らによる国家安全保障委員会で決まった。特定の人種への憎悪で暴力を助長する犯罪の罰則を強化するほか、憎悪をあおる組織の指定制度創設やオンライン上の規制強化などを進める。また、憎悪や社会的分断を行う入国者のビザを取り消したり、新規発給を拒否したりする権限を内相に付与する。
政府はさらに、ユダヤ人差別対策を担うシーガル特使が7月に提出した勧告を完全に実施することを決定。差別対策が不十分な大学に対する補助金停止などが主な内容だ。アルバニージー氏は記者会見で「憎悪は言葉から行動へエスカレートする。悪を根絶するため多くの対策が必要だ」と強調した。
連邦警察のバレット長官は、テロの全容解明のため、容疑者と接触した国内外の人物や組織を広く調べる方針を表明した。重傷で入院中のナビード・アクラム容疑者(24)は15人殺害のほか、傷害、銃器使用、テロ実行など計59件の罪で訴追済み。父サジド容疑者はテロ当日に射殺された。一方、現場のボンダイビーチ周辺の鑑識捜査が一段落し、立ち入り規制はほぼ解除された。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。