ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した宮本雄二氏

中国の習近平(シー・ジンピン)政権が世界に向けて「日本の軍国主義復活」を批判するキャンペーンを繰り広げています。高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に反発し、あり得ない物語(ナラティブ)をつくって日本を国際社会で孤立させようとしているかのようです。日本はどう対応すべきでしょうか。

元駐中国大使の宮本雄二氏はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演し「いくら中国が日本は軍国主義に向かっていると宣伝しても、世界はそう思わない。日本は十分に対抗できる」との考えを強調しました。根拠のない対日批判はむしろ国際社会における中国の品位をおとしめ、逆効果になるというわけです。

一方で、中国軍機が自衛隊機にレーダー照射をするという危険な行為に及んだことについては「中国が対日圧力の手段の一つとして軍事の分野を選び、それを使って着実に圧力を行使しようとしているのであれば、日中間の緊張はさらに高まる」と強い懸念を表明しました。

中国側は自分たちの艦載機も自衛隊機からレーダー照射を受けたなどと主張し、日本側は否定していますが、水掛け論になっています。宮本氏は「(事実関係が)曖昧なまま、ああだこうだと言い合っているのは著しく危険な状況だ」と述べ、日本側も可能な限りデータを出して中国側に反論すべきだとの考えを示しました。

習政権が日本への威嚇を弱める兆しはいまのところありません。中国側は政府間だけでなく、日本との民間交流まですべて断ち切ろうとしているようにみえます。宮本氏は「こういうときこそ対話を続けなければならない」と指摘し、中国側の対応を批判しました。

習氏が抜てきしたとされる中国共産党の馬興瑞・中央政治局員が汚職の疑いで拘束され、調査を受けているとの臆測が出ています。宮本氏はこの件に関し「習氏は部下でも不正が見つかったときは守らないという考え方の人だ」と語り、習氏の権力基盤が揺らいでいる表れではないとの見解を明らかにしました。

宮本氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

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(編集委員 高橋哲史)

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