まるで雲海のように広がった灰色の大パノラマ。
一見幻想的な眺めのようですが、その正体は大気汚染による煙です。
撮影されたのはボスニア・ヘルツェゴビナの首都・サラエボ。
白い霧に包まれたように見える街では、人々が有害物質から身を守るためマスクをして歩く姿が見られました。
サラエボにある救急病院の院長はこの1週間、呼吸器疾患の患者が急増していると話します。
救急病院の院長:
ここ1週間、毎日300人から500人の患者が激しい呼吸困難、せき、喉の詰まりなどの症状で来院しています。
市民の健康を害するほどの深刻な大気汚染。
なぜ、このような事態に陥っているのでしょうか。
環境問題に取り組む専門家は原因について、「大気汚染の最大の原因は湿ったまきや石炭などを固形燃料として使用する家庭用の小型ストーブです。固形燃料から排出されるガスに対処するには、きれいなエネルギーへの転換が必要ですがその取り組みはほとんど進んでいません」と指摘します。
またサラエボは地理的にも山々に囲まれた谷間に位置しているため、風が吹かなければ汚染された空気が数日間街に滞留するということです。
地元当局は市民の健康を守るための措置としてEU(ヨーロッパ連合)の環境基準を満たさない自動車などの走行を禁止するなど緊急措置を講じています。
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