米連邦議会議事堂近くの広場に敷かれたトランプ氏とエプスタイン氏の写真=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米司法省は23日、少女買春などの罪で起訴され、自殺した米富豪のジェフリー・エプスタイン氏に関する追加の捜査資料を公開したと発表した。エプスタイン氏と交友関係があったトランプ大統領の名前が記された文書が多数含まれている。司法省は虚偽の情報も含まれていると強調している。

11月に全面公開を義務付ける法律が成立し、司法省は19日に資料の一部を公開。約2週間をかけて残りの資料を順次公開すると説明していた。今回は約3万ページ分を公開した。

ニューヨーク州の連邦検事が2020年1月に送った電子メールには、トランプ氏が1993〜96年にエプスタイン氏の自家用機に少なくとも8回搭乗していた記録があると書かれている。

エプスタイン氏が名前が黒塗りにされた20歳の人物と3人だけで搭乗したり、エプスタイン氏の共犯者の裁判で証人になる可能性がある人物と搭乗したりした記録もあると記されている。メールの宛先は黒塗りにされた。

司法省が19日に公開した写真の一つ=ロイター

またニューヨーク州の連邦検事が2021年10月、エプスタイン氏の共犯者の裁判で、南部フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」にある人物(黒塗り)に関する雇用記録を提出するよう求めた召喚状も含まれている。

性的虐待の罪で有罪となった受刑者に宛てたエプスタイン氏の署名入りの手紙もあり、「我々の大統領も我々の若い、年ごろの女の子(girls)への愛を共有している」などと書かれている。当時の大統領はトランプ氏だった。

司法省はX(旧ツイッター)への投稿で、米連邦捜査局(FBI)がこの手紙はにせ物だと断定したと明らかにした。筆跡がエプスタイン氏のものにはみえず、手紙の消印がエプスタイン氏が自殺した3日後だったことなどを根拠とした。

司法省が公開したエプスタイン氏の署名がある手紙=ロイター

司法省は今回公開した資料について「20年の大統領選直前にFBIに提出されたトランプ大統領に対する虚偽の扇情的な主張が含まれている」と強調した。

トランプ氏は22日、記者団に対してエプスタイン氏を巡る疑惑は「共和党の素晴らしい成功から関心をそらそうとする試みだ」と改めて主張した。

エプスタイン氏はトランプ氏のほかにも、クリントン元米大統領やチャールズ英国王の弟・アンドルー氏といった著名人と広く交流があった。エプスタイン氏が買春をあっせんした著名人の「顧客リスト」を保有し、口封じのために殺害されたとする陰謀論めいた見方はなお根強い。

トランプ氏が署名して成立した公開法は、エプスタイン氏の事件に関わる全ての記録や文書、通信記録、捜査資料を検索可能な形で公開するよう定めている。

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