今年、旧知の中国人記者と飲む機会があった。内モンゴル自治区出身で大陸的な器の大きさを持つ好人物だ。「うわばみ」と称して大酒を飲み「自分は食用と酒用の食道を2本持っているからいくらでも飲める」とうそぶいていた。 日中の外交関係がにわかに緊張している。高市早苗首相が11月7日の国会で、中国が台湾攻撃に踏み切り、支援した米軍も攻撃した場合、「存立危機事態になり得る」と答弁したことが原因だ。 つまり日本が直接攻撃されていないまま中国と戦火を交える可能性に言及した格好で、これに中国が反発しているのである。中国側は国民に日本への渡航自粛を促したり、国連安全保障理事会で発言撤回を求めるなど、外交的圧力を強め続けている。 中国は米国と並び最大級の貿易相手国だ。IT、自動車関連を軸に高度な部品などを融通し合っている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば約1万3千社の日本企業が中国進出。中には社運をかけて進出した企業もあるだろう。 インバウンド(訪日客)でも中国は消費額で1位。インバウンドの消費額は全体で昨年8兆円を超えており、自動車(完成車)に次ぐ2番目の「売れ筋商品」に成長しており、もはや日本経済の生命線である。 高市発言は、こうした代替のきかない貿易相手国との関係を台無しにしかねず、兆単位の経済損失を招きかねないのである。 理解し難いのは国内に発言を歓迎す... 残り 582/1163 文字
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