ゼレンスキー大統領 ロシアとの首脳会談実現へ 調整急ぐ考え
トランプ大統領「両首脳を会わせなければならない」
ウクライナ 防衛スタートアップ企業では
ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談をめぐっては、アメリカのトランプ政権が調整を進めるとしていますが、ロシアのラブロフ外相はウクライナ側のせいで調整が進んでいないと主張するなど、開催の見通しは立っていません。こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、26日、ビデオ演説で「今週、トルコ、湾岸諸国、ヨーロッパ諸国との接触が行われる。これらの国々はロシアとの会談の場になり得る。われわれの側ではこの戦争を終わらせるために万全の準備を整える」と述べました。ウクライナのシビハ外相も、SNSに「いかなる形式と場所での首脳会談であっても応じる用意がある。われわれは殺りくに終止符を打ち、外交に機会を与える用意がある」と投稿しました。ウクライナとしては、開催できるかが見通せなくなっているロシアとの首脳会談の実現に向けて、開催地などについて各国との調整を急ぐ考えです。
アメリカのトランプ大統領は、26日、ロシアとウクライナによる首脳会談をめぐって、ホワイトハウスで記者団に対し「私はこの問題が終わってほしい。両首脳を会わせなければならない」と述べ、事態の打開に向けて両国は首脳会談を行うべきだという考えを強調しました。そのうえで、進展が見られない場合について、「われわれには経済制裁がある。世界大戦にはならないが、経済戦争になるだろう。それはロシアにとって悪いものとなるだろう」と述べ、ロシアに経済制裁を科す可能性を示唆し首脳会談の実現に向けて改めて圧力をかけました。
ウクライナのゼレンスキー政権は、ロシアによる軍事侵攻が長期化する中、自国の防衛産業基盤を整備する取り組みを進めていて、中でも防衛に関するスタートアップ企業への支援を強化しています。ウクライナの政府機関によりますと、防衛に関するスタートアップ企業は、侵攻前の数十社から1500社あまりに急増したということで、無人機や電子戦を中心とした兵器の技術開発や生産に取り組んでいます。
このうち、場所を明かさないことを条件にNHKの取材に応じたスタートアップ企業は、光ファイバーケーブルを使うタイプの無人機を生産しています。一般的な無人機は、操縦や映像の通信に電波が使われることから電子戦の装置によって電波妨害を受けるケースが多いのに対して、光ファイバーケーブルの無人機は有線のため妨害を受けることはないとして、ウクライナ・ロシアともに積極的に活用しています。この企業では、こうした無人機を月に1000機以上生産しているということです。
機体に搭載するリールにケーブルを巻く工程では、作業員が太さ0.25ミリの光ファイバーケーブルを切れないよう慎重にセットすると、機器が位置を調整しながらリールを回して巻きつけていました。無人機の飛行距離は搭載されたケーブルの長さで決まりますが、途中で断線しないようコンピューター制御で巻き方を調整するなど工夫を重ねたことで、これまで15キロだったのが40キロまで伸びたということです。
企業の代表をつとめる男性は、攻撃の成功率が従来の無人機では20%から30%なのに対し、有線では50%から80%に向上するとしたうえで、「光ファイバーケーブルは、電子戦の影響を回避する重要な解決策だ。ロシアよりわれわれのほうが進んでいる点もある。急速に発展している分野だ」と話していました。
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