大手百貨店メイシーズで買い物をした客=ロイター

【ワシントン=野一色遥花】米連邦準備理事会(FRB)が14日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、前回の2025年11月分から米経済活動が「わずかにまたは小幅に拡大した」と総括した。関税で仕入れ価格を物価に転嫁する動きが続いた一方、高所得層の消費は堅調だった。政府閉鎖の終了やホリデー商戦が経済活動を促したとの指摘も相次いだ。

ベージュブックは12ある米地区連銀の報告内容をまとめた資料で、企業などに聞き取った内容をもとに景況感を報告している。直近3回の報告ではほとんどの地区が「ほぼ変わらない」としていた。

全12地区のうち、中西部セントルイスや西部サンフランシスコなど8地区では経済活動がわずかにまたは小幅に拡大した。3地区では前回から横ばい、北東部ニューヨークでは小幅に縮小した。

雇用は12地区中8地区で「変わらず」だった。非正規雇用者の増加は「見通しを立てにくい状況下で柔軟に対応するためだ」(中西部ミネアポリス)との声が聞かれた。北東部ボストン地区の人材派遣サービス担当者は非正規労働者が26年に正規職員に昇進する想定が多いと指摘した。

賃金の上昇率は「通常のペースに戻った」とした回答者が多かった。

物価は上昇傾向にあるとの報告がほとんどだった。関税による価格上昇圧力の報告が相次ぎ、関税への言及は50回だった。関税のコストを負担していた業者も一部では関税発動前の在庫が品薄となるにつれて顧客に転嫁し始めた。エネルギー価格や保険料の支払いが利益を押し下げた。

南部リッチモンド連銀は「エネルギーと健康保険コストの増加」が物価上昇の理由として挙げられたと指摘した。全地区で保険への言及は18回だった。

従業員の健康保険コストの高騰が事業主の負担になっているとの説明は地区をまたいで多くみられた。低所得者が「低コスト・無償の健康保険を手に入れにくくなっている」(北東部ニューヨーク)との指摘もあった。

消費活動は所得層別で明暗が分かれ、高所得層は住宅やホリデーショッピングなどで堅調な消費活動を続けている。一方、低所得層は必需品以外への出資を避ける姿勢が目立った。

住宅の販売、建設はほとんどの地区で減った。南部ダラス地区は「初期購入者向けの住宅への需要は鈍化した一方、高級住宅や住み替えのための住宅への需要は底堅かった」とした。

観光では見方が分かれた。「季節外れの寒さと降雪がスキー施設へ客足を誘った」(北東部ボストン)と好調だった地区もあれば「団体ベースの予約は滞りがちで、定例のカナダからの観光客が目立って減った」(南部アトランタ)との報告もあった。

農業はほぼ変わらず、南部アトランタ地区では「海外からの需要が減り業況が少し悪くなった」との声があった一方、穀物の生産地も多い中西部シカゴでは大豆などの販売価格が上がったとの報告があった。

今後の見通しは「どちらかといえば明るい」との見方がほとんどだった。

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