1月14日、「サン!シャイン」が取材したのは、兵庫・姫路市にある磁石を製造する会社。

見せてくれたのはレアアースを混ぜた金属で、電流を流すことで磁石になるといいます。

厚みのある筒のような機械に入れると…「バチン」と音が。

姫路電子株式会社従業員:
これは磁石入っています。
一瞬で生まれたのは強力な磁力。その磁力をレアアースを混ぜていない磁石と比べてみました。

取材スタッフ:
これが普通の磁石ですね。確かに緩い感じがしますね。

取材スタッフ:
これがレアアースを含んだ磁石。…取れない。強力ですね、これ。
レアアースを含んだ方が、圧倒的に磁力が強くなるといいます。

レアアースとは全部で17種類ある希少な金属。

それぞれ特性が異なり、「発光」するものはLEDなどに、「強力な磁力」につながるものは、携帯電話や電気自動車のモーターなどに使われ、製品に少量加えるだけで性能が大きく向上するため「産業のビタミン」と呼ばれています。
しかしレアアースは、世界生産量の約7割を中国が占めているという“独占状態”。
日中関係が悪化する中、中国は日本への輸出規制強化を発表しています。
取材した会社は中国にある協力企業とレアアースを含む磁石を作ってきましたが…。

姫路電子株式会社・綱嶋重昭社長:
(今後)どれだけ(レアアースが)入ってくるか全然分からない。
――今入ってきているのは規制前のもの?
綱嶋重昭社長:
そうそう、多分そうだと思う。(今あるものが)最後かもしれない…厳しいですよ。
(売り上げは)半分くらいはなくなるでしょうね。
現状、レアアースを含む商品の在庫はあと2カ月ほどあるといいますが、その後は先が読めないと頭を悩ませていました。

そんな中、日本では世界初の試みとして、南鳥島近海の海底6000mで確認されているレアアースの試験採掘を開始。
中国に依存しない、「国産レアアース」の実現となるのでしょうか?
中国“独占状態”のレアアース産業…環境を“犠牲”に?
東中健アナウンサー:
特に鉱石からレアアースを取り出す「精錬」。

これに関しては中国が91%を占めているということなんですが…この理由は何でしょうか。

東京大学大学院・中村謙太郎教授:
精錬は中国でっていう、鉱石を出して中国でやってもらうという形が精錬の圧倒的なシェアにつながっているというのがあるんです。実は陸上の鉱石というのはレアアースと一緒に放射性元素である「ウラン」とか「トリウム」が大量に入っているというのが特徴で、精錬した後にレアアース以外のものは捨てることになるんですけれども、それが放射性廃棄物という形になってしまう。

例えば日本とかで管理しようと思うと、非常にコストがかかりますよね。そこのコストをあえてかけずに安いコストで出すという。
それは中国の中の事情でもあると思うんですが、低い環境規制でそのまま捨てておくとか、放射性廃棄物としてきちんと管理しないでそのまま置いておくとか、そういったことをしているというふうに言われています。

キヤノングローバル戦略研究所上席研究員・峯村健司氏:
かつて内モンゴルの現場とかレアアースの現場を近くまで見に行ったことがあるんですが、結構すごい色の水が川を流れてたりとかですね。
独占することによって「経済的な兵器」として使って他国に依存させるというのを、1980年代ぐらいからずっと戦略的にやってきてるんですね。
(レアアースを)「レア」って付いてるんですけど、そんなにレアじゃないです。埋蔵はされてるんですけども、結果として精錬段階でコストもかかり、環境性もかかるから、中国にある意味任せてきたというところのツケが、今来ているということですね。

東中健アナウンサー:
中国に対して頼っている部分がありまして、振り返れば2009年は中国から85%のレアアース輸入量。2010年に尖閣問題があり、中国が輸出を一時停止していました。2020年には減少傾向にあったわけですけれども、2024年は72%の輸入量。2020年から2024年にかけて増えているのはなぜなんでしょうか。
中村謙太郎教授:
減っているところは、日本は尖閣諸島問題で“レアショック”というのを経験しているので、経済産業省中心に中国以外からレアアースを調達するということに努力してきた。それでも自動車産業とかハイテク産業が発展していくに従って必要な量というのは増えていってしまう。

中村謙太郎教授:
特に「重レアアース」という中国からしかまだ出てこないものっていうのもありますので、シェアが増えていくということもやむを得ないという部分があるかなと思います。
国産レアアースなるか…南鳥島近海で試験採掘開始
レアアースに関して窮地に立たされている日本。

そんな中1月12日、南鳥島近海の海底6000mで確認されているレアアースの試験採掘をするべく、探査船「ちきゅう」が出港しました。
そこには世界初の掘削技術が。

1本10mのパイプをつなぎながら海中へ下ろしていきます。海底までは6000mなのでパイプは600本使用。

そこに泥水を送り込むことで海底のレアアースを含んだ泥を押し上げ、船場で連続してレアアースを含む泥を汲み上げるというのです。
いよいよ始まった“国産レアアース”の採掘試験は、脱中国依存につながるのでしょうか。

東中健アナウンサー:
国産のレアアースに期待がかかりますが、中村さんによると南鳥島のレアアースの泥には放射性物質がほとんど含まれていないのではないかということです。
さらには中国が独占している重レアアースも含まれている可能性があるということです。
もしこれが見つかってどんどん取れていけば、“脱中国”の切り札的なところにもなるんでしょうか。
中村謙太郎教授:
2012年に私たち東京大学のグループが、南鳥島にもレアアース泥という資源があるというのを見つけていて、南鳥島にあってくれたっていうのは非常にラッキー。

しかし一方、2011年に日本がレアアース泥を発見した直後に中国も南鳥島周辺の航海でレアアース調査を開始。さらに2025年の6月、中国の空母が周辺海域で活動するという行動に。
峯村健司氏:
これは邪魔です。邪魔しにきてます中国が。
あと今後懸念されるのが今の中国政府の日本に対する制裁ですよね。ここを何とか国を挙げて守らなきゃいけないと思います。
谷原章介キャスター:
国の金だけじゃなくて、やっぱり民間にはどんどん出資を募集をして、誘致をしていって官民両方で進めるべきプロジェクト?
峯村健司氏:
経済的な合理性だけじゃなくて、やはりこれは採算とは別で「戦略的にどうやるんだ、どう確保していくんだ」ということを考えていくと。
(「サン!シャイン」1月15日放送より)
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