不況で人員整理を迫られた韓国の造船所が舞台の映画「ただ、やるべきことを」が、1月17日からユーロスペース(東京都渋谷区)などで順次全国公開される。造船会社の人事部門で働いた異色の経歴を持つパク・ホンジュン監督が、自身の経験を基にリストラをめぐる人間模様を描いた。日本の会社にも起きそうな場面が続く韓国映画だ。

 2010年代の韓国。中堅造船所の若手社員、カン・ジュニ(チャン・ソンボム)は新しく人事チームに配属されて早々、人員整理の渦中に巻き込まれる。誰を解雇対象にするのかで悩む人事チーム。本来は解雇対象なのに、会社に残したいと無理を言う上司。人員整理を迫っておきながら、社会問題になることを嫌う債権団。様々な矛盾や皮肉が渦巻くなか、ジュニは家族にも言えないほど悩み、考える。

「先輩と友達、どちらをクビにするのか」

 「お世話になった大先輩と、年の近い知人のどちらをリストラするのか」といった決断に直面する人事担当者。この映画は、従来の「会社対労働者」という視点ではなく、登場人物が悩む姿をリアリスティックに描いた。パク監督は、無理に映画の「結論」を出すことを避けた。会社の経営陣、リストラされる人々、人事チームがそれぞれ悩み、満足な結果を得られない。それがリアリズムに通じるからだという。

 造船業は、韓国の基幹産業の一つ。最近ではトランプ米政権との関税交渉で、巨額投資を通じた対米協力が話題となった。業界では人件費の安い中国の市場占有率が上がる一方だ。パク監督も過去3年半にわたり造船会社の人事部で働いた。「今の若い人には人気がない業界」だという。

 造船業のほか、韓国は出生率の低下、男女間の対立、教育格差など、様々な社会問題を抱える。パク監督は「この映画のように、社会には答えが出ない問題が数多くある」と言う。ただ、必死に生きるジュニたちの姿を通じ、「対決ばかりではなく、話し合うことの大切さを感じてほしい」と語った。

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