高市早苗首相とイタリアのメローニ首相の初の会談は、現在の国際情勢を踏まえ、安全保障とサプライチェーン(供給網)の協力に軸足を置いた。米国と中国への戦略で共通点が多く、日伊は連携の余地が大きい。アジアと欧州の地理的概念を超え、経済と安保の「複合危機」にともに備える。

メローニ氏は16日の首脳会談の冒頭に「(高市首相が)就任後、初めて(日本で)会談するヨーロッパのリーダーが私だと思う」と語りかけた。
首相は2025年10月の政権発足後、まず米国、アジア諸国との関係づくりに取り組んだ。年明けから本格的に欧州首脳との交流を始める。
欧州には世界的な課題で協力し合える日本の同志国が多い。ドイツ、フランス、英国、イタリアは主要7カ国(G7)のメンバーで、日本は欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)との連携も深める。
従来は距離が離れているという理由で日欧は外交の優先順位は高くなかった。しかし20年以降、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵略が起き、経済・安保分野の関係強化が急速に進んだ。
特にイタリアは昨今の国際情勢で、日本と対米、対中戦略で重なる部分が多い。
日本は対中国で「デカップリング(分断)」ではなく、依存度を減らす「デリスキング(リスク軽減)」を掲げる。
同じアジアの大国である中国と経済関係を切り離すことはできず、安保に関わる先端技術や重要物資の調達で依存度を減らそうと努める。
イタリアはかつて中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参加していたが、23年に離脱した。欧州の主要国のなかでは最も対中依存が強かったが、メローニ氏の首相就任後に距離を置いた。
最近はレアアース(希土類)や半導体の調達先の多様化などを急いでいる。
今回の首脳会談で日伊の2国間関係を「特別な戦略的パートナーシップ」に格上げした。中国による経済的威圧やレアアースの対日輸出規制の強化などを念頭に「あらゆる経済的威圧、輸出規制への深刻な懸念を共有する」と訴えた。
対米国では安保協力を拡大する。日伊どちらも米国の同盟国で、両首相はトランプ大統領との関係構築を重視する点でも一致する。メローニ氏は欧州首脳の中でも特にトランプ氏と親交が深いと言われている。
一方で日本もイタリアも、地域の安保体制への米国の関与に不安を抱える。トランプ氏の「米国第一主義」が東アジアや欧州の安定に影響を与える可能性を懸念する。
ともに自国の安保体制の強化をめざし、防衛費をまず国内総生産(GDP)比で2%に高め、さらなる拡充を視野に入れる。
首脳会談では日英伊による次期戦闘機の開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」の進展を歓迎した。日本が初めて米国以外と取り組む大型装備品の開発案件となる。
自衛隊とイタリア軍が将来同じ戦闘機を使えば、共同訓練の内容が充実する。
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