
イスラエルの二つの人権団体は27日までに、パレスチナ自治区ガザでの自国軍の攻撃を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと認定する報告書をまとめた。地元メディアによると、国内の人権団体が自国の行為をジェノサイドと非難するのは初めて。ただ世論は依然、軍を強く支持している。
ジェノサイドは第2次大戦下のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を機に、特定集団に対する加害を示す用語としてつくられた歴史がある。イスラエル国内からの訴えに注目が集まっている。
2団体は「ベツェレム」と「人権のための医師団・イスラエル」(PHRI)。いずれも7月28日に報告書を公開した。
2023年10月から戦闘が続くガザでは、イスラエルが物資搬入を大幅制限したことで餓死者も続出。ベツェレムは、攻撃の目的に関する政府高官の発言から「イスラエルがガザ社会を組織的に破壊しようとしているのは明白だ」と強調した。
PHRIは飢餓や感染症による死亡が今後何年も続くとし、「人の住めない環境を意図的につくり出している」と問題視した。
国際社会ではイスラエルへの批判が高まるが、イスラエル世論はこれと乖離。テルアビブ大国家安全保障研究所による7月下旬の世論調査では、自国軍について「道徳的だ」と答えたユダヤ系市民が92%に上った。「ガザの人道状況を懸念する」と答えたユダヤ系市民は24%にとどまった。
メディア学が専門のテルアビブ大のシャピラ氏は、国民が「イスラム組織ハマスによる奇襲の犠牲者との立場から離れられないでいる」と語った。
また、広告収入に頼る報道機関は視聴者や読者の要望に沿い、ガザの現実に目を向けていないと説明。国際社会との隔たりがさらに広がれば「イスラエルは世界から疎外されていく」と指摘した。
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