ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した柯隆氏

中国人民解放軍の制服組トップ、張又俠氏の失脚が波紋を広げています。軍の機関紙は張氏を「腐敗分子」と断じ、異例の激しい言葉で非難を続けています。もともとは習近平(シー・ジンピン)国家主席に近く、軍人として高い評価を受けていたとされる人物の「粛清劇」は、中国軍の今後にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

東京財団主席研究員の柯隆氏はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」と連動したNIKKEI LIVEに出演し「人民解放軍は大変なパニックになっており(この状況は)これから少なくとも数年は続く」との見通しを示しました。

解放軍の最高指導機関である中央軍事委員会は、習氏をトップとする7人のメンバーのうち、張氏ら5人が失脚する異常事態になっています。1979年の中越戦争に参戦した張氏のように、実戦経験のある指揮官はひとりも残っていません。従来の指揮命令系統は機能しなくなっている可能性が高く、それを立て直すにはかなりの時間がかかるというのが柯隆氏の見方です。

習氏が悲願とする台湾統一に向け、解放軍が軍事行動を起こす可能性はどうなるでしょうか。柯隆氏は「いまの状況で台湾への侵攻はできるわけがない」と述べ、当面、台湾有事は考えにくいとの見解を明らかにしました。

しかし、中長期的には楽観できません。同じNIKKEI LIVEに出演した日本経済新聞の前中国総局長で、現在は政策報道ユニット長の桃井裕理氏は「習氏が最高指導者に就いて以来、台湾有事がいつか起こりうるというリスクはずっとある。これが強まったわけでも弱まったわけでもない」と指摘し、日本としても備えを怠るべきではないとの考えを強調しました。

柯隆氏は8日の衆院選で自民党が大勝した場合について「高市早苗内閣が長期政権になる可能性があるので、習政権は日本への対応(の修正)を模索するかもしれない」と指摘しました。

一方、桃井氏は習政権が仮に対日強硬策を少し緩めたとしても「じわじわと中国軍の活動の場所を日本の近海に広げていく中長期戦略は変わらない」との見通しを示し、引き続き警戒が必要だと呼びかけました。

柯隆氏と桃井氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

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(編集委員 高橋哲史)

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