タイのペートンタン首相はことし6月、隣国カンボジアとの国境問題をめぐる対立が深まる中、カンボジアのフン・セン上院議長との電話会談でカンボジア側におもねるような発言をしていたことがわかり、国内で批判が高まりました。
これについて憲法裁判所は上院議員の一部からペートンタン首相の解職を求める申し立てを受け、先月から審理を続けていましたが、29日、首相の行為は憲法で定められた倫理規定に反するとして解職を命じる判断を下しました。
ペートンタン氏は、タクシン元首相の次女で去年8月、タイで史上最年少の37歳で首相に就任しましたが、およそ1年で失職する事態となりました。
カンボジアとの国境問題への対応をめぐっては、首都バンコクで大規模な抗議デモが相次いだほか、最新の世論調査でペートンタン氏の支持率は就任以来、最低となる9.2%まで落ち込んでいました。
今回の判断を受けて、近く、議会下院で新たな首相が選出されることになりますが、カンボジアとの緊張が依然として続く中、国内政治の混乱が収束に向かうのか不透明な状況です。
ペートンタン氏とは
ペートンタン氏は、タクシン元首相の次女で、現在39歳。
去年8月、前の首相が失職したのに伴い、タイ史上最年少で首相に就任しました。
女性が首相になったのは、タクシン氏の妹のインラック氏に続いて2人目でした。
ペートンタン氏は、家族が所有するホテルなどで関連事業に携わったあと、タクシン派の「タイ貢献党」で顧問などを務め、おととしの総選挙では党の顔として選挙戦を率いました。
ただ、閣僚経験がないまま、首相に就任したことから政治的な手腕を疑問視されることも多く、期待されていた経済政策の不調や、カンボジアとの国境問題への対応をめぐって厳しい視線が注がれていました。
議会下院での首相選出 政治的混乱が深まる懸念
タイでは長年にわたってペートンタン首相の父親のタクシン元首相派と軍に近い保守派との権力争いが続き、政治的な混乱が生じてきました。
おととしの総選挙のあと、双方の勢力が手を結んで連立政権が樹立され、タクシン氏に近いセター氏が首相に就任したものの、去年、閣僚人事をめぐって保守派の影響力が強い憲法裁判所から解職を命じられ、タクシン氏の影響力をそぐことがねらいだとも受け止められていました。
その後、ペートンタン首相の政権が発足しましたが、保守派によるタクシン派へのけん制が続き対立が深まる中、カンボジアとの国境問題への対応が火種となってペートンタン氏もおよそ1年で失職に追い込まれる事態となりました。
タクシン派と保守派による連立政権は維持されていますが、議会下院での首相選びをめぐって政治的な混乱が深まることが懸念されています。
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