
【ヒューストン=赤木俊介】安全性重視の人工知能(AI)開発を掲げていた新興の米アンソロピックは24日、自社が設けていた安全指針を緩和すると発表した。これまでは安全性が疑われるAIモデルについては慎重に開発する方針だったが、今後は競合他社の開発状況に応じて続ける。AIの開発競争で後れを取らないためと説明した。
同社は2023年9月から開発中のAIモデルについて、既存のモデルよりも性能が向上していた場合でも、安全性を保証できないと判断すれば開発を中断するとしていた。
今後は競合他社が高性能なAIを開発し、アンソロピックが後を追う立場にあれば、開発を止めず競争性の維持を優先する。
AI技術の進歩や事業の急拡大に加え、米国でAI規制の法整備が進んでいない現状を踏まえ、単独で業界全体の安全基準をけん引することはできないと判断した。競合では米オープンAIや米グーグルもAIの性能向上を進めている。
今後は開発中のモデルのリスク分析を3〜6カ月ごとに公開するという。必要に応じてAIの安全性を専門とする第三者にも分析を依頼する。
AIの利用規約を巡り、アンソロピックは契約を結ぶ米国防総省からも圧力を受けていた。敵を攻撃する自律型兵器などで自社のAIを使わないよう求めていたが、国防総省側はあらゆる合法的な活動に利用を認めるよう要求し、応じなければ契約の解消と「サプライチェーン(供給網)上のリスク」に指定する措置を検討していた。
同社のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は24日、ヘグセス国防長官と会談し、国防総省側は27日を期限に調達条件に応じるよう迫った。
アンソロピックが提供するAIの「Claude(クロード)」はプログラミングに強みを持つ。業務ソフトの事業モデルを崩しかねないとしてソフトウェアサービスを提供する「SaaS」関連銘柄の株価下落につながった。クロードは出力をする際に「大量破壊兵器の作製に加担しない」などの規範に従うよう設計されている。
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