
【ニューヨーク=竹内弘文】米労働省は30日、確定拠出年金(DC)が暗号資産(仮想通貨)や、未公開株やノンバンク融資といったプライベート資産で運用しやすくする規則案を発表した。運用手段の幅が広がる一方、荒い値動きや情報開示が限定的な金融資産に個人の老後資金運用を託すことの是非も問われる。
トランプ米大統領は2025年8月、仮想通貨やプライベート資産のDC運用を阻む規制の見直しを関係省庁に指示する大統領令に署名した。今回の労働省案は大統領令を受けての対応だ。
DCは企業など雇用主が用意した投資先から従業員が運用先を選ぶ仕組みで、米国の労働者にとって老後資金を蓄える主な手段だ。米投資信託協会(ICI)によると2025年末時点で米国DCの運用資産は約14兆2000億ドル(約2270兆円)あり、このうち「401kプラン」と呼ばれる企業型DCが10兆ドル強。労働省は401kを所管する。
現在の運用対象は上場株や公募の債券といった伝統的な金融商品がほとんどを占める。プライベート資産の組み入れを禁じる規制はないが、雇用主が手数料が高めのプライベート資産の運用商品を401kプランに加えるのは、企業年金の受託者責任を全うしていないとみられて従業員からの訴訟リスクが高かった。
労働省の規則案は、受託者責任に関する免責を広げる内容だ。運用商品の成績や手数料、複雑さなど6つの要素を客観的に分析したうえであれば、プライベート資産や仮想通貨を組み入れた運用商品を加えられる。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て最終規則化する方針だ。
ビットコインは仮想通貨の推進を公約の1つに掲げたトランプ氏が24年の大統領選に当選すると相場上昇に弾みが付いた。ただ、25年10月に史上最高値を付けた後は下落が続き、半値近くまで下落した。
プライベート資産のうちプライベートクレジット(ノンバンク融資)では債権の質に対する警戒が強まり、個人向けファンドから資金流出が続いている。流動性が低い資産だからこそ長期運用の401kに向いているとの見方がある一方、複雑な仕組みの資産は個人投資家向きではないとの指摘もある。
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