
中国は、9月3日を日本との戦争に勝利した80年の記念日だとして、北京の中心部で、習近平国家主席などが出席し、大規模な軍事パレードを行う予定です。
パレードでは、極超音速兵器や無人機など新型の兵器を登場させ、軍備の増強を誇示して国威の発揚を図るとともに、一党支配を続ける中国共産党による統治の正統性を強調するとみられます。
また、ロシアのプーチン大統領や北朝鮮のキム・ジョンウン総書記ら20か国以上の首脳が出席する予定です。
北朝鮮の最高指導者が中国の軍事パレードに出席することについて、韓国メディアは、キム総書記の祖父のキム・イルソン(金日成)氏が1959年に中国の建国記念日を祝うパレードに出席して以来だと伝えています。
中国としては、戦後80年にあわせて戦勝国としての立場を誇示するとともに、欧米主導の国際秩序に対抗し、関係の深い国々との結束をアピールするねらいもあるとみられます。
習近平国家主席 プーチン大統領と会談 「戦勝国」の立場誇示
中国は3日、日本との戦争に勝利した80年の記念日として、軍事パレードなどの式典を北京で開く予定で、習近平国家主席は2日、中国を訪れているロシアのプーチン大統領と会談しました。
中国外務省によりますと、習主席はことし5月にロシアで行われた「戦勝記念日」の行事に出席したことに触れ、「互いに式典に出席することは戦勝国として正しい歴史観を守る揺るぎない決意を示している」と強調しました。
そのうえで「両国はともに多国間主義を重視していて、国連や上海協力機構など多国間の場での協力を強化していくべきだ」と述べ、アメリカのトランプ政権への対抗も念頭に、連携の強化に意欲を示しました。

一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は「戦友としての記憶や、共通の利益を守るための揺るぎない姿勢は、新しい時代の包括的パートナーシップと戦略的協力関係の基盤となっている」と述べ、両国の関係をさらに発展させたいという考えを示しました。
また中国側の発表では、両首脳はともに関心を持つ国際的な問題について深く意見を交わしたとしていて、トランプ政権やウクライナ情勢などへの対応についても議論したものとみられます。
軍事パレードを3日に控え 北京中心部は厳重な警戒態勢

軍事パレードを3日に控え、北京の中心部には、大勢の警察官や警備員、それに多くの警察車両が配置され、厳重な警戒態勢が敷かれています。
このうち、天安門広場につながる大通りは、一部が通行できなくなっていて、路上に警察官が立って車の運転手にう回するよう指示していました。
また、幹線道路沿いには、新たに白い柵が設けられ、歩行者が車道に立ち入れなくなっていました。

一方、飲食店や商店の中には、2日夕方から3日にかけて臨時休業する店もあり、休業を知らせる紙を店頭に貼り出していました。
また、NHKの取材班が市内の様子を撮影していたところ、警察官から呼び止められて取材理由を問われるなど、当局が神経をとがらせていることがうかがえます。
韓国情報機関“北朝鮮 経済的支援 外交方針修正ねらいか”

北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が、3日、中国の北京で行われる軍事パレードに出席するねらいについて韓国の情報機関は、中国との関係を回復させて経済的な支援を引き出すとともに、ロシアに重点を置いた外交方針を修正するねらいがあるとの見方を示しました。
韓国の情報機関、国家情報院は、2日、北朝鮮の最新情勢などについて国会の委員会に報告しました。
報告を受けた国会議員によりますと、キム・ジョンウン総書記は3日北京で行われる軍事パレードで、中ロ両国の首脳と並んで観覧する見通しだとした上で「冷戦期における3か国の連帯の構図が再現されることになる」という説明があったとのことです。
その上で、軍事パレードに出席するねらいについて、中国との関係を回復させて経済的な支援を引き出すとともに、北朝鮮がウクライナ侵攻を続けるロシアに派兵することで協力関係を深める中、侵攻の終息を見据えロシアに重点を置いた外交方針を修正するねらいがあると指摘したということです。
一方、ロシアに派兵した北朝鮮軍の死者の数について、これまで600人としていましたが、現時点では2000人あまりと推定しているということです。
このほか、来月10日の朝鮮労働党創立80年に向け、1万人以上を動員して大規模な軍事パレードの練習が行われているのに加え、10万人規模によるマスゲームの公演も実施されるとの見通しが示されたということです。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。