
【ニューヨーク=竹内弘文】米大手証券取引所のナスダックは3日夜、調達額や売買が乏しい中国企業の上場を難しくする規則案を公表した。新規上場時に2500万ドル(約37億円)以上の資金調達を義務づけ、時価総額基準も厳格化する。米中対立が資本市場にも影を落としている。
「純利益基準」と呼ばれる条件で主に小規模の企業向けの市場区分に上場する場合、上場時の時価総額の最低額を1500万ドルとする。上場要件を満たさなくなり時価総額も500万ドルを割り込んだ銘柄は「取引停止や上場廃止の手続きを迅速化」する。米証券取引委員会(SEC)の承認を経て、上場規則を改める。
ナスダックの最高法務・リスク・規制責任者のジョン・ゼッカ氏は声明で規則改定は「中小型株の取引実態を精査し、市場の健全性を守って投資家保護を強化する取り組みの一環だ」と述べた。
ナスダックはこれまでの取引実態を検証した結果、外国銘柄の取引で「株価操縦の疑いがあるケースが目立つ」と判断した。流動株の少ない小口上場では、虚偽や合理的根拠のない情報を流して株価変動を狙う「風説の流布」で相場が乱高下しやすい。規則を変更し、そのリスクを低減させる狙いだ。
ロイター通信によると、米国では100社以上の中国企業が上場している。4月には中国飲料チェーンを展開する茶姫控股がナスダックに上場した。既存の上場企業にはアリババ集団など大手テクノロジー企業だけでなく、中小型の銘柄も少なくない。
上場規則の厳格化は、資本市場を舞台にした米中摩擦の一環とも捉えられる。
米連邦下院・中国特別委員会は5月、SECのポール・アトキンス委員長に対し、中国企業を米市場から締め出すよう要請する書簡を送った。SECも6月、米上場する外国企業向けの優遇措置について条件見直しの検討を始めた。事実上、中国企業の米国上場ハードルを高める内容となり得る。
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