【NQNニューヨーク=矢内純一】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比114ドル09セント(0.25%)高の4万5514ドル95セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が来週にも利下げをするとの観測が投資家心理を支え、ハイテク株や消費関連株の一角に買いが入った。半面、週内発表の物価統計を見極めたいとの雰囲気が強かった。ダウ平均は下げる場面もあった。

ニューヨーク連銀が8日に発表した8月の消費者調査で、現在職を失った場合に3カ月以内に再就職できると予想する割合が44.9%と前月の50.7%から低下した。8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回った後で、改めて労働市場の悪化が意識された。

労働市場の減速を背景にFRBが16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決めるとの観測が根強い。利下げ幅を0.5%にするとの予想も市場の一部で浮上している。利下げが米経済を支えるとの見方が株買いを後押しした。米債券市場で長期金利が一時5カ月ぶりの低水準を付けた。金利低下で株式の相対的な割高感が薄れた面もあった。

ダウ平均は下げる場面があった。10日に8月の米卸売物価指数(PPI)、11日に8月の米消費者物価指数(CPI)が公表される。FRBの利下げ見通しを探る上で投資家の注目度が高く、内容を見極めたいと様子見の雰囲気があった。

ダウ平均の構成銘柄では、IBMやウォルマート、ユナイテッドヘルス・グループが上昇した。アマゾン・ドット・コムやウォルト・ディズニーも買われた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズやアムジェン、スリーエム(3M)が下落した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前週末比98.311ポイント(0.45%)高の2万1798.699(速報値)で終え、8月13日以来の最高値更新となった。半導体のブロードコムやデータ分析プラットフォームのパランティア・テクノロジーズが上昇した。

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