国連総会議長に就任したドイツのベーアボック氏㊨と国連のグテレス事務総長=国連提供

【ニューヨーク=吉田圭織】ニューヨークの国連本部で9日、第80期の国連総会が開幕した。世界的な紛争や新興・途上国への対応を巡り、各加盟国・地域の首脳らが一堂に会して協議する。議長を務めるドイツのベーアボック前外相は開幕式で「今回は通常の会期ではない。国連の成功と失敗の分かれ目の岐路に立たされている」と訴えた。

パレスチナ自治区ガザで続く戦闘やロシアによるウクライナ侵略、イランの核問題への対応が議題となる。

国連は2025年で創設80周年を迎える。記念式典を22日に開く。ベーアボック氏は「80年がたった今、我々の使命は国連を存続させ、強化して、21世紀にふさわしい組織にすることだ」と強調した。

22日にはフランスとサウジアラビアがパレスチナ問題について話し合う首脳級の国際会議を共催する。フランスや英国、カナダなどによるパレスチナの国家承認が発表される見通しだ。

各国首脳による一般討論演説は23日から始まる。現時点でトランプ米大統領が23日に、ウクライナのゼレンスキー大統領が24日にそれぞれ演説を予定する。ロシアからはラブロフ外相が出席するとみられる。

ガザ戦闘を巡って対立するパレスチナのアッバス議長は25日、イスラエルのネタニヤフ首相は26日に演説する見込みだ。

米国務省はパレスチナ自治政府の職員やパレスチナ解放機構(PLO)のメンバーにビザ(査証)を発給しないと発表している。アッバス氏はビザが発給されなければオンラインで演説する。

ベーアボック氏は開幕式に先立ち、記者団に「国連本部協定に基づき、ホスト国(米国)はすべての代表団の国連総会へのアクセスを許可すべきだ」と述べた。

核開発を巡り米欧諸国との対立が続くイランのペゼシュキアン大統領は24日に演説する。核問題の交渉が進展しなければ、9月下旬に英国、フランス、ドイツが始めた手続きが完了し、イランへの国連制裁が復活する。

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