トランプ政権が成立させた減税・歳出法で移民取り締まりが強化されている=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米議会予算局(CBO)は11日までに、米国の新たな人口予測を発表し、死亡数が出生数を上回る「自然減」が始める時期が従来予想より2年早まると指摘した。移民流入数の減少に伴い米国内の出生数が減ることが、予測時期を早めた最大の要因だと説明した。

CBOは報告書で、2031年に米国人口は死亡数が出生数を上回る自然減となると指摘した。1月に出した予測では33年から自然減に転じると発表していた。

見直しの最大の理由は移民の流入数をめぐる計算だ。移民が減ることですでに低下傾向にある出生率をさらに押し下げる可能性がある。移民の主体となっているヒスパニック(中南米系)は出生率が高い。

CBOはトランプ米政権が7月に成立した減税・歳出法(OBBB)が移民流入数の低下に大きくつながると予想している。報告書では、OBBBに盛り込まれている移民取り締まり強化で26〜29年の間に約29万人が本国へ強制送還されると推計している。米国を自主的に出国する人も3万人ほど出てくると推計している。

CBOは自然減が始まることに加え移民流入が減ることで、今後30年の人口成長が従来予想よりも「緩やかで小幅な成長になる」と分析している。25年に3億5000万人の米人口は55年に3億6700万人に増加すると予測している。1月には3億7200万人への増加を予測していた。

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