
【NQNニューヨーク=稲場三奈】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比273ドル78セント安の4万5834ドル22セント(速報値)で終えた。前日に大幅に上げ、最高値を更新した後で、主力株に利益確定売りが出やすかった。一方、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げに動くとの観測は根強く、相場の支えとなった。
ダウ平均は11日に617ドル上昇し、初めて4万6000ドル台に乗せた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数と多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も最高値を更新した。12日は高値警戒感から持ち高調整の売りが広がり、ダウ平均の下げ幅は290ドルあまりになる場面があった。
ナスダック総合株価指数は5日続伸し、前日比98.028ポイント高の2万2141.103(速報値)で終えた。5日連続で最高値を更新した。
12日にミシガン大学が公表した9月の米消費者態度指数(速報値)は55.4と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(58.1)を下回り、前月(58.2)から低下した。1年先の予想インフレ率は4.8%と前月から変わらず、長期の予想インフレ率は3.9%と前月(3.5%)から上昇した。米政権による関税政策が消費者心理を下押ししており、経済の悪化懸念につながったことも相場の重荷だった。
もっとも、ダウ平均の下値は堅かった。11日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)はおおむね市場の想定内の伸びにとどまったほか、週間の米新規失業保険申請件数が労働市場の減速を示した。FRBは16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決めるとみられており、金融緩和が経済を支えるとの期待が根強い。
市場では「利下げ観測に加え、人工知能(AI)の恩恵への期待はいまだに高く、大型ハイテク株を中心に買いが続いた」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との指摘があった。
ダウ平均の構成銘柄では、メルクやシャーウィン・ウィリアムズ、ボーイングなどが下げた。半面、マイクロソフトは上昇した。11日夕にオープンAIとの提携を延長することで合意したと発表し、好感された。アップルやウォルマートも高かった。
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