
【パリ=北松円香】格付け大手フィッチ・レーティングスは12日、フランス国債の格付けをダブルAマイナスからシングルAプラスへ1段階引き下げると発表した。主要格付け会社による仏国債の格付けがシングルA格まで下がるのは初とみられる。
フランスは政局によって財政健全化が一段と遅れる可能性が高まっている。格下げによって金利が上昇すれば、調達コストの悪化を通じてより財政の負担となるリスクがある。
フィッチは引き下げについてバイル前内閣の信任投票否決が「国内政治の一段の分裂と二極化を示している」と説明し、不安定な内政のせいで財政再建が遅れるとの見方を示した。
フィッチとS&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ・レーティングスの格付け大手3社の仏国債格付けをそれぞれ確認可能な1980年代〜90年代まで遡ったところ、シングルA格まで低下するのは今回が初めてだった。
債券市場では財政懸念を受けて仏国債金利の上昇圧力が強まっている。10年債利回りは12日に3.4%台後半と、これまで仏より財政状況が悪いと見なされてきたイタリアの10年債利回り(3.5%台半ば)にほぼ並んだ。
フランスは2024年時点で財政赤字の国内総生産(GDP)比が5.8%と欧州連合(EU)の財政ルールが規定する3%を大幅に上回っている。内政担当のバイル前首相は2026年度予算案に財政再建策を盛り込もうとしたが野党が反発し、バイル内閣の信任投票は否決された。
国民議会(下院)ではマクロン大統領が率いる与党連合は議席の過半を持っていない。マクロン氏が任命したルコルニュ新首相は財政再建を引き継ぐとみられるが野党との溝は深く、見通しは不透明だ。
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