記者会見する日本医師会の松本吉郎会長(右)=東京都文京区で2025年9月17日午後、阿部絢美撮影

 日本医師会は17日、一般診療所(医療法人)の約4割が2024年度、赤字経営だったとの調査結果を公表した。物価高騰や人件費の上昇が影響したと分析している。松本吉郎会長は記者会見で「病院だけでなく、診療所を取り巻く経営環境は極めて厳しい状況にある」として、26年度に改定される診療報酬の大幅な引き上げや、補助金による対応を国に求めた。

 調査は6~7月、会員を対象に実施。一般診療所(医療法人)は6761医療機関から有効回答を得た。

 それによると、赤字経営は23年度の24・6%から24年度は39・2%に増加した。物価高に加え、新型コロナウイルス関連の補助金や診療報酬上の特例措置が廃止された影響による減収が大きな要因という。

 診療科別では、発熱外来など感染症対策を行ってきた内科や小児科、耳鼻咽喉(いんこう)科で大幅に利益率が下がっていた。

 松本会長は「これ以上赤字が増えていくと(診療所が)倒産する。医療費を削減しようという政策は地域医療にとって大打撃で、国民のためにならない」と訴えた。

 医療機関の経営を巡っては、全日本病院協会などの病院団体も物価高騰や人件費上昇に伴い危機的な状況だとして、厚生労働省に支援を求める緊急要望書を提出している。【阿部絢美】

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