「地域フォーミュラリ」は地域の医師会や薬剤師会、医療機関などが協力して、価格の安いジェネリック=後発医薬品を中心に地域で使う薬の処方方針を決める取り組みです。

医療費が増大するのに伴い現役世代の保険料負担が増す中、国は現役世代の負担を抑えるため、ことしの「骨太の方針」で、地域フォーミュラリの全国展開を進めることを盛り込んでいます。

17日、厚生労働省は全国の取り組み状況を公表し、ことし5月時点で実施しているのは大阪府・茨城県・神奈川県・愛知県・広島県・山形県などの10府県の16地域だったことが分かりました。

このうちのひとつ、山形県の酒田地区では糖尿病や高血圧などの薬の推奨薬を定めていて、去年1年間とその4年前を比較するとおよそ2億2000万円の削減効果があったということです。

医療経済に詳しい一橋大学の高久玲音教授は「日本は医療費に占める薬剤費が高く、適正化を進める必要がある。地域フォーミュラリは患者への健康に悪影響を与えることなく、医療費を削減できる方法だが、これほど少ない地域でしか導入されていないのは課題だ」と話していました。

「バイオ医薬品」安価な後発医薬品への置き換えは3割程度

国は保険料負担の軽減のためにがんや難病に使われる高額な「バイオ医薬品」を価格の安い後発医薬品の「バイオシミラー」への置き換えも進めていますが、進んでいる薬は3割程度だったことが全国健康保険協会の調査で分かりました。


「バイオ医薬品」は微生物や細胞の力を使って合成される薬で主にがんや難病の治療に使われていますが、価格が高く国は現役世代の保険料負担を軽減するため価格が安い「バイオシミラー」と呼ばれる後発医薬品への置き換えを推進しています。

この状況について、働く人やその家族およそ4000万人が加盟する全国健康保険協会が18種類のバイオ医薬品について、どのくらいバイオシミラーが使われたかをレセプト=診療報酬明細書の記録をもとに調査しました。


それによりますと、ことし1月の時点で国が目標とする8割以上の置き換えが進んでいたのは5種類で、全体のおよそ3割でした。

一方、最も置き換えが進んでいなかったのは皮膚の病気の治療に使われる薬で1%未満だったということです。

調査した全国健康保険協会は、「最近は、手術の費用よりも薬剤費のほうが高額な医療費の上位を占めている。健康保険制度を維持していくためにも安価な後発医薬品への置き換えを進めていく必要がある」としています。

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