広島、岡山両県を結ぶJR芸備線の潜在需要を調べるための臨時増便について、JR西日本の飯田稔督(としまさ)・広島支社長は19日の会見で「運転士確保の問題から今の形での延長は難しい」とし、「始発、最終列車をバスに置き換えて運転士を確保すれば、増便の期間延長は可能」と述べた。臨時増便の11月以降の延長を求めていた地元自治体は、強く反発している。

 赤字ローカル線の芸備線をめぐっては、JR西や国、沿線自治体でつくる「再構築協議会」が、一部区間の存廃などを議論している。臨時増便は観光などの潜在需要を調べる実証事業の一つとして、再構築協議会が実施を決めた。

 臨時増便は7月19日から広島―備後落合(広島県庄原市)間と備後落合―新見(岡山県新見市)間で、土日祝日に上下1便ずつ走らせている。JR西は運転士不足から11月24日までの4カ月間としているが、地元自治体は「観光需要は季節ごとに変化する。4カ月間では周知も十分できない」などとして、来夏までの通年実施を求めていた。

 飯田支社長の発言は、19日の定例会見での質問に対して答えたもの。飯田支社長は会見後、土日祝日の始発、最終列車の一部区間の利用者は「多くても数人。仮にバスに代替しても、大きな影響はないだろう」とも述べた。再構築協議会の幹事会で今後議論したいという。

 これに対し、地元の庄原市地域交通課の担当者は「突然の提案で戸惑っている。実証事業の目的は、芸備線の可能性を最大限探ること。通常の列車をバスに置き換えることは、その方向性と合わないのではないか」と疑問を呈した。

 新見市交通対策課の担当者も「実証事業はあくまで増便が前提。通常の列車を減便する事業は想定していない」と反発。「運転士不足はJRの問題。住民が影響を受けるのはおかしい」と話した。

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