東京都は、災害時に倒壊した電柱が避難の妨げとなるおそれがあるなどとして「無電柱化」の取り組みを進めていて、2017年には都が管理する道路で電柱の新設を原則禁止する条例を制定しました。

一方で、宅地では敷地内の道路の多くが私道で、「無電柱化」が進まず課題となっていることから、東京都は、指定地域で新たに宅地開発をする場合、敷地内の電柱の新設を原則禁止とする全国で初の条例の制定を目指すことになり、このほど、基本方針をまとめ、公表しました。

そのなかでは、開発許可を申請する段階で無電柱化の計画書の提出を義務づけ、違反した場合は指導・勧告に加え、事業者名を公表するなどとしています。

また、指定地域は23区の大部分が対象となる見通しです。

都は、広く意見を募るため、パブリックコメントの募集を24日から始めました。

募集の期間は1か月間で、都は、集まった意見を踏まえて来年の制定を目指すとしています。

「無電柱化」防災機能強化の観点から全国的に取り組み

「無電柱化」は、電線を地中に埋設し電柱を撤去する整備で、景観のためだけでなく防災機能の強化の観点からも全国的に取り組みが進められています。

北陸電力送配電によりますと、去年1月の能登半島地震では、県内の電柱およそ3750本が傾いたほか、およそ750本が折れるなどの被害が出たということです。

災害時の電柱の倒壊は、電気や通信などのインフラの確保が難しくなるだけでなく、道路を塞ぎ避難や救助の妨げになることから応急復旧作業にも大きな支障が出たということです。

東京都 これまでの取り組みと課題

「無電柱化」をめぐっては、東京都の小池知事は、2016年の知事選に初当選した際の公約に掲げていて就任直後から積極的に取り組みを進めています。

そして、2017年には、都が管理する道路で電柱の新設を原則禁止とする条例を施行し、昨年度末までに都道全体の48%の整備が完了しています。

一方で、都道以外では無電柱化の取り組みは順調には進んでいません。

都によりますと、民間企業による宅地の開発は年間およそ500件行われていますが、電柱が新設されるケースも多くあるということです。

有識者会議の試算では、年間850本以上増加しているということで、都が管理する道路以外での対応が課題となっています。

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