
共学化せず女子大であり続ける「女子大学宣言」をしている京都女子大(京都市東山区)が25日、新たに女性活躍を促進する三つの学部と二つの大学院研究科を2027~30年度に設置する計画と、26年度以降の入学生を対象にした返済不要の給付型奨学金の創設を発表した。
竹安栄子(たけやすひでこ)学長と竹内康弘総務部長が記者会見を開いた。新学部はまず27年4月に「食科学部」を設置し、生産・流通・消費・栄養・健康までを担う「食のプロフェッショナル」の養成を期す。食産業・ビジネス、生産、環境分野を学ぶ「食マネジメント学科」(定員60人)を新設する他、管理栄養士の養成を主としている「食物栄養学科」を現在の家政学部から改組(定員は80人に減)する。

28年4月には「経営学部」(仮称、定員100人)を設置する他、23年4月創設のデータサイエンス学部からの進学先にもなる大学院データサイエンス研究科の新設も計画。さらに29年4月に別の新学部の設置、30年4月にも大学院経営学研究科(仮称)の設置をそれぞれ構想しているとした。
食マネジメント学科では新たに11人の教員を採用するが、学生のロールモデルとなる若手女性研究者を積極的に登用。3人は食料・農業経済やフードマネジメントを担当する社会科学系とする。
創設する奨学金は、一般選抜前期(3科目型)で3科目の合計得点が80%以上の入学生全員を対象に「京女スピリッツ奨学金」として、年間授業料総額(入学学科の授業料と教育充実費)を4年間給付する。最高額の食物栄養学科では512万8000円となる。同じ合計得点が75%以上80%未満は「京女チャレンジ奨学金」として入学学科の授業料相当額を1年間給付し、生活造形学科なら91万円となる。
またスピリッツ・チャレンジ共に学生寮に入る場合、受験時に京都・大阪・滋賀の3府県以外に在住していた入学生の寮費は4年間無料。さらにチャレンジでは3府県以外からの入学者に4年間で100万円を給付する。

これらは7月の女子大宣言に沿い、女性活躍を担う人材育成のための大学改革としている。会見で竹安学長は男女格差が続く社会の現状を指摘し、女子大は教育におけるアファーマティブアクション(積極的格差是正措置)との位置づけを強調。「性別による分類がないのが一番。学生たちは女性だけの環境に身を置いて初めて解放感を意識できる。女子大学教育は選択肢の一つではなく、日本社会の持続的発展を実現するために重要な人材を養成する教育機関。そうあり続けるために絶えざる教育改革に取り組む」と述べた。
京女大は現在7学部10学科で1学年の募集定員は計1440人。それを上回る入学が25年度もあった。他の女子大が学生確保に苦しみ、共学化の動きも見られるが、竹安学長は「本学の規模での共学化は経営的にも良くない」とも語った。【太田裕之】
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