
飼育放棄された猫や野良猫の殺処分ゼロを目指して、移動式手術車による猫の不妊・去勢手術が盛岡市の高松地区保健センターで始まった。初日の29日は保健所などで保護された約30匹の猫が手術を受けた。今後、1カ月間に3日程度のペースで、岩手県内を巡回する。県内では初の取り組み。【山田英之】
猫の保護活動をする認定NPO法人「もりねこ」(盛岡市)と、猫の不妊・去勢手術専門病院「にじのはしスペイクリニック岐阜本院」(岐阜市)の共催。
同病院によると、猫は交尾すれば高い確率で妊娠する。妊娠期間は約2カ月で、1回の出産で平均5匹を産む。2カ月後に子猫が離乳すると、次の妊娠が可能になる。繁殖の周期が非常に早く、あっという間に増えるのが特徴だ。

行き場を失った猫の多くは、民間の動物愛護団体などに保護され、希望する飼い主に譲渡されている。しかし、同病院は「繁殖を止めない限り、(その仕組みは)いずれ破綻する危機にさらされている」と警鐘を鳴らす。
保護した猫を手術するために訪れた県央保健所の獣医師、中村千佳子さん(47)は「不妊・去勢手術をすれば、新しい飼い主に飼ってもらえる確率が高くなる。保護した猫を譲渡につなげたい。移動式手術車によるサービスは助かる」と話す。

手術を担当した獣医師の高橋葵・にじのはしスペイクリニック岐阜本院長は「移動式手術車は駐車する場所さえあれば、どこでも手術できる。動物病院が少ない地域に行くこともできる。機動性が高い」と語った。
出張手術費は雄か雌か、譲渡された猫か飼い主のいない猫かなどの条件で異なる。移動式手術車は10月28~30日にも岩手県内3カ所を巡回予定。受付時間はいずれも午前9時~9時半。もりねこは10月4日午前11時~午後3時、盛岡市の県青少年会館で保護猫の譲渡会を計画している。
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